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不動産登記

不動産に設定された差押えや仮差押えについて


いつもお読みいただきありがとうございます。



最近、パーソナルトレーニングにどっぷりハマっています。
これまで近所のスポーツジムに入会していたこともあるのですが、なにぶん続かない...
どうしても行くのが億劫になってしまうんですよね。

かつての僕のように、毎月のジム会費だけを無駄に支払い続けている人は少なくないのではないでしょうか?

その点、パーソナルはいいですね。
まず、予約制ですので億劫だから行かないと言う選択肢が生じない。
ジムよりもかなり割高なのは大きなデメリットかもしれませんが、だからこそ高まる意識もあり、それ相応の効果も期待できます。

スポーツジムがどうしても続かない方は一度体験してみるといいかもです。



さて、それではそろそろ本題へ―
今回は不動産に設定された"差押え""仮差押え"についてです。

マニアックな内容のように思えるかもしれませんが、多いんですよ実際は。
事実、僕は毎月のように目にしていますから―


それはいったいどういうものなのか?
また、どうすべきものなのか?


諸々、検証していきましょう。




<目 次>




1.不動産に設定された差押えについて

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"差押え"



誰しも一度くらいは耳にしたことのワードなのではないでしょうか?
あるいは、実際に経験したことがある方も少なくないはずです。


差押えは、幾分、イメージ自体はし易いでしょうが、簡単に言葉でその意味を説明するとなると―


なかなか難しいんですよこれが。



『借金や税金などの支払いを行わない者に対し、競売や公売を前提としてその者が保有する財産が処分されないようにするための裁判所命令』と、でも言いましょうか―



まったくもって分かりにくいですよね...




僕の表現力の問題もあるでしょうが、無理に言葉で説明しようとするとどうしてもこうなってしまいがちです。

そのため、言葉的な意味合いで理解するのではなく、むしろこれから説明させていただく差押えの目的や流れに注視するようにして下さい。

おそらくその方が理解が早いはずです。


尚、差押えの対象となる財産はいくつかあるのですが(具体的には、不動産、動産、債権の3つです。)、当ブログではその内、"不動産"に対する差押手続にクローズアップし、お送りさせていただくこととします。




1-1.不動産に対する差押えの目的

なぜ不動産に差押えが行われるのか?


理由は簡単です。
未収を回収するためです。


何の未収かと言うと―


固定資産税や、住宅ローンの未収はもちろんのこと、不動産に関わる権利以外のものもその対象になり得ます。

例えば、市県民税や国民健康保険等、固定資産税以外の滞納税金、住宅ローン以外の借金や保証債務等です。

いわゆる、ありとあるゆる"金銭債務"がその対象になるわけです。



次にその回収方法についてですが、最終的には"競売"であり"公売"です。


それらの違いについては、一般の借金関係が"競売"で、国の税金関係が"公売"と覚えておくといいでしょう。
とは言え、どちらも対象となる不動産を換価(お金に換えることです。)し、未収に充てるという点と、その手続に当事者以外は基本誰でも参加可能な点に違いはありません。

競売や公売によって、手続の最高額落札者が対象となる不動産の所有権を取得し、債権者は相応の未収を回収することができると言うわけです。


ようするに差押えはこれらの手続の準備段階であり、第三者への安価な価格での転売等、手続の妨害を防ぐ保全手段のようなものでもあるのです。




1-2.差押えがされた不動産は売却できないのか?

よく受ける質問の一つでもあります。


単にできるできないの話であれば、"できます"
ただし、現実的な話をするならば、差押えがされたままの不動産の購入を希望する人などまずいません。


考えてもみてください―


競売や公売によって、後にその所有権を失う可能性のある不動産に対し、大枚をはたくどんな理由があると言うのでしょうか?

少なくとも僕ならば検討の余地すらありません。


ただし、ここで勘違いして欲しくないのは、あくまでそれは"差押えがされたままの不動産の売却"についての話という点です。


かつて差押えがされていた不動産や、購入と同時に差押えを外せる場合はこれに該当しません。



過去がどうであれ、対象となる不動産の所有権を取得した時点で、差押えが外れてさえいれば何も問題はないわけです―



以上のようなことから、"差押えを外した上で、もしくは購入と同時に差押えを外せるのでなければ不動産を売却できない"と言うのが適した回答になるでしょう。




1-3.差押えを外す方法

対象となる不動産に設定された差押えを外す方法はもちろん存在します。


むしろ手続的な部分に限って言えば、そんなに難しいものではありません。

税金の差押えについては所定の書類()を直接管轄法務局の窓口に、借金等の差押えについては管轄裁判所を介し裁判所の嘱託によって(税金の差押えとは異なり、司法書士等が直接法務局窓口に持ち込むわけではありません。あくまでその登記申請は裁判所の嘱託となります。)同じく所定の書類を管轄法務局に提出するだけですから―
※当該"所定の書類"については、次項を参照ください。


結果、法務局での登記手続が無事終了すれば差押えは外れます。


大変なのはむしろそこまでの過程です。
尚、対象となっている未収のすべてをすぐに解消できるのであれば、何も難しく考える必要はありません。


単に支払えばいいだけですから―

完済さえできれば差押えはすぐにでも外せます。


問題なのは仮に不動産を売却したとしても、それによって未納を完済できない場合です。
ただし、だからと言って、すぐに不動産の売却を諦める必要まではありません。


ここからは相手方との交渉です―


競売や公売によって回収できるであろう金額と、不動産の売却によって回収できるであろう金額の差異等々、それこそ事案に応じた適切な対応が求められる部分と言えます。

ただし、そこさえクリアーできれば、差押えを外して不動産を売却することも可能となるわけです。


とは言え、もちろんかなりの専門性を求められる場面でもありますので、それに適した不動産仲介業者やその他の専門家選びが重要になります。

むしろ、そここそが頑張りどころですので、依頼先は慎重にご検討ください。




1-4.不動産の差押えを外す上で必要になる書類等

債権者側との交渉がまとまれば、いよいよ実際に差押えを外す手続が行われることになります。


ただし、この部分についてはそんなに心配する必要はありません。


税金による差押えであれ、他の借金による差押えであれ、通常、何らかの書類を作成したり取得したりする必要はありませんから―
                      
すべて債権者側が作成してくれるのです。


とは言えー


不動産の売却と同時に差押えの取り下げ手続を行うようなケースでは、それに対する最低限の知識だけでも持っておきたいものです。

そうでないと、債権者側の用意した該当書類が正しいのかどうかの判断すらできませんからね。


そういうわけで、以下、税金系及び借金系の差押えの取下げに必要となる最低限の必要書類等のご案内となります。



<税金系>

  • 申請書
  • 登記原因証明情報

※特に注意点は多くないです。借金系の差押えとは異なり、収入印紙は必要ありません(国の手続なので)。むしろ物件の表記等、一般的な部分に注視すべきでしょう。



<借金系>

  • 取下書(2部あることが通常)
  • 収入印紙(物件1つにつき1,000円の収入印紙が必要となります。)

※税金系に比べると多少注意点が増えます。例えば取下書に押印された印鑑は、申立時に押印したものと同一である必要があり、仮にと異なる場合は印鑑証明書等を要求されます。また、代表者等に変更がある場合は、別にその旨の上申書等が必要になる場合もあります。尚、2部ある取下書の内の1つは控えになりますので(受領書のようなものです。)、裁判所の受付印が押されたものが戻ってきます。ちなみに、収入印紙は持参すればよく、取下書等に貼り付ける必要はありません。




どうでしょう?
結構、簡単ですよね??

債権者側との話し合いがきっちりと付いているのではあれば、それほど恐れる程のことでもないわけです。




2.不動産に設定された仮差押えについて

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続いて、"仮差押え"についてのお話しです。



"差押え""仮差押え"


言葉は似ているようでも、その意味は大きく異なってきます。
その訳は後述しますが、業務を行っている上で個人的に嫌なのは仮差押えの方です。

差押え同様、仮差押えも不動産に対して設定されることがあります。
その趣旨や、手続上の注意点等につき簡単にご紹介致します。



2-1.差押えと仮差押えは何が違うのか?

言ってしまえば根拠となる法律自体が異なります。


差押えは、確定した権利に基づく強制執行手続の一種です(税金に基づく差押えはちょっと異なる部分があります。それについて次項で説明しますので、ここで言う"差押え"は借金に基づくものであるとの理解でいて下さい。)

例えば、裁判に勝訴し(住宅ローン等の抵当権に基づく競売の場合は裁判等を要しません。)、相手方の財産(不動産)を競売によって換価するための手段なわけです。

特に不動産に対する差押えは、競売に直結しますし、それが目的となります。



対して、仮差押えは、強制執行手続ではなく、競売にも直結しません。
むしろ仮差押えが設定された段階では、その元になっている裁判すら終了していません。


仮差押えは、まさに保全手続なわけなんです。


通常、訴訟を提起する前提として仮差押えが設定されます。
裁判中、もしくは裁判後に不動産等の財産を他者に移されるのを防ぐ趣旨なのです。

この点、差押えでも同様の効果が望めますが、仮差押えの場合は裁判等の終結前に保全処置がとれる点で大きく異なります。


差押えの目的が競売等の強制執行手続なら、仮差押えはその前に行う保全手続というわけなんです。

尚、仮差押えのままでは競売等はできません。
あくまで保全手続ですから―

権利確定後(裁判の勝訴等)に差押えに移行する感じです。




2-2.仮差押えが設定された不動産売却の可否

差押え同様、債権者側との交渉が整えば不動産に設定された仮差押えを外すこともできますし、もちろん、その後の不動産の売却も可能です。

また、仮差押えを外すのに必要となる書類関係や提出先も差押えの時と同様です。


状況が整いさえすれば何も難しい話ではないのです―


ただし、異なる点もあります。
それは仮差押えが差押えとは異なり、交渉を行う時点で未だ係争中であるという点です。


なにせ裁判中だったり、裁判を間近に控えている状況だったりするわけですから―


結果、仮差押えを外す段階では、その元となる裁判の状況に左右されることがあるため、差押えに比べて交渉がまとまりにくいことがあります。


そのため、僕が受任した案件なんかで言うと、差押えよりも、仮差押えが設定された案件の方が何かと気を使う部分が多いというわけです。

その点、ご注意を。




3.税金に基づく不動産の差押えについて

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  • 借金に基づく不動産への差押え:競売に直結する強制執行手続
  • 借金に基づく不動産への仮差押え:財産隠しを防ぐための保全手続


既述のとおり、それそれの手続を簡単にまとめるとこんな感じになるでしょうか―


では、税金に基づく差押えは?


ざっくり言うと、これらの中間に位置するような感じとです。


最終的にどうにもならなければ(税金の滞納を解消できなければ)、"公売"が行われるこにはなります。

尚、公売とは、滞納税庁が国税徴収法に基づき行う、滞納税金の回収のための換価手続です(競売の税金版のようなものです)。

その点、借金に基づく差押えに近いのですが、
よっぽどの事情でもない限り、そんなにすぐに公売が行われることはありません(差押えと公売が直結しないのです。)

どっちかと言うと、待ちのスタンスであることが多いです。



それは、なぜなのでしょう―



借金に基づく差押えや仮差押えが数年に渡って設定されたままになっていることなど、そうそう多くありません。

なぜなら、それらが競売や裁判に直結した手続だからです(競売が終われば、裁判が終われば、対象となる不動産は換価されるか、差押え等が外されます。)。


対して、税金に基づく差押えは何年も設定されたままであったり、毎年、毎年、新しい別の差押えが設定されているようなケースも見受けられます。

稀に5つも6つも、場合によってはそれ以上の数の差押えがされているような不動産すら存在します。


ひとえにこれは、国や市区町村長が行う滞納税金を回収する際の優先順位の問題なのです。


基本的に、滞納税金の回収方法で優先されるのは"分納"です。
毎月、分納計画に基づき定められた金額を支払っていくわけですね。

あくまで、その分納が優先され、税金滞納者が分納計画に従わないようなら、致し方なく公売や預金・給与の差押えを強行するという流れなのです。


いわゆるこの税金に基づく差押えは、公売を行う時点で対象の不動産を他所に売却等されるのを防ぐ意味合いでのものでもあるわけです。


この点、仮差押えに近い特徴も持っているというわけなのです。




4.まとめ

今回は不動産に設定された差押えや仮差押えについてのお話しでした。


頑張ったつもりではいますが、それでも理解するのが難しい部分も多々あったかと思われます。

司法書士九九法務事務所では、個別の無料相談はもちろんのこと、他士業、案件に適しているであろう不動産業者のご紹介等も無料で対応させていただいております(エリアにもよりますが...)。

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それでは今回はこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一