取扱業務
各種相続手続について特別代理人の選任手続
特別代理人は未成年者等の住所地を管轄する家庭裁判所で行う手続です。
司法書士九九法務事務所は一般的な司法書士が得意とする不動産登記手続だけではなく、家庭裁判所での各種書類作成手続にも対応可能です。
また、これまでに何度か司法書士自身が特別代理人に選任された経験もございますので、実務に即した具体的なアドバイスも可能となっております。
是非、ご相談ください。
目 次
1.特別代理人の選任手続とは
特別代理人の選任が必要となる典型例は未成年者が行う遺産分割協議です。
この国の法律上、未成年者が単独で法律行為を行うことは許されていません。
一般的な法律行為としては、他に不動産の売買や賃貸契約の締結などです。
未成年者がそうした法律行為をするときは、親権者である両親が未成年者を代理してそれを行います。
両親は未成年者の法定の代理人なわけです。
- 特別代理人とは、親権者が未成年者を代理できない場合に代わりに選任される代理人です。
まず典型例は記述のとおり未成年者の遺産分割協議です。
具体的な例でいうと、父Aが死亡し、その相続人が母Bと未成年者の子Cのみだったとします。
当然ながら相続人であるBとCが遺産分割協議を行わなければならないのですが、Cはまだ未成年です。
そうなると他の法律行為同様、BがCを代理するのでしょうか?
答えはNoです。
親子だからいいのでは?
と、思うわれる方もいるでしょうが、法律は親子の絆なんてこれっぽっちも信じてはいません。
ひたすらに未成年者Cを保護します。
仮に遺産分割協議の内容がCに有利なものであっても結果は同じです。
本当の意味で有利かどうかは画一的に判断できるものではない以上、たとえ極端に未成年者に有利な内容であっても特別代理人の選任を要求されます。
尚、このような親権者と未成年者の状況を『利益相反(りえきそうはん)』と言います。
互いの利益が相反しているというわけです。
その他、未成年者が相続放棄を行う場合や、未成年者だけに限らず、成年後見人と成年被後見人間でも利益相反関係は成り立つので、状況によっては特別代理人を選任しなければならないケースが生じることがあります。
2.特別代理人を選任する上での注意点
次に実際に家庭裁判所に特別代理人の選任申立を行う上での注意点等をご紹介致します。
- 未成年者ごとに特別代理人を選任しなければならない
1人の特別代理人が複数の未成年者を代理することはありません。
そのため、例えば2人以上の未成年者がいるような場合は、それぞれの未成年者に別の特別代理人を申立る必要があるのです。
これは、仮に特別代理人が1人で複数の未成年者を代理できるとしたら、またそこに利益相反行為が発生してしまうためです。 - 遺産分割協議案はなるべく未成年者に不利な内容になるのを避けるべき
特別代理人を家庭裁判所に申し立てる際、遺産分割協議書の案文もあわせて提出する必要があります。
この遺産分割協議書を行うにあたって、特別代理人を選任してくださいと言ったような申立内容になるわけです。
ですので遺産分割協議書の案文は後に変更が生じないよう、ざっくりとしたものではなく、あくまで本番用のしっかりとしたものを作成する必要があります。
続いてその内容についてですがー
なるべく未成年者に有利になるように、もしくはそうでなくとも不利にならないようにする方が無難です。
それはなぜなのか?
場合によっては特別代理人を家庭裁判所が選任しない可能性が生じるからです。
例えば未成年者に不利益過ぎると判断された場合などです。
ただし、ここが大事なところなのですが、未成年者に不利な内容であっても、極端な話、未成年者が全く何も相続しない内容であっても、絶対に特別代理人が選任されないということではありません。
未成年者に不利な内容の遺産分割協議案であっても、相応の理由があれば特別代理人の選任は可能なのです。
ケースとしては、未成年者が単純に幼かったり、そうでなくとも今後の学費の問題等親権者が多く相続する明確な理由がある場合などです。
現にそれなりに苦労しましたが、僕自身、全く未成年者が相続しない内容の遺産分割協議案で手続が成功した経験があります。
とは言え、あくまでこれらは家庭の事情や扶養内容等様々な要因を鑑み家庭裁判所が判断するものであり、これをこうすれば大丈夫といった単純な部類のものではありません。
そのため特にこれといった事情がないのであれば、未成年者によって不利のない内容にするのが無難であるという話です。 - 未成年者のみが相続放棄をする場合は注意が必要
両親が未成年者と一緒に相続放棄する場合は特別代理人の選任を要しません。
これに対し、未成年者のみが相続放棄をする場合や、複数の未成年者の親権者が一部の未成年者のみを代理して相続放棄を行う場合には特別代理人の選任を要します。
これらについては未成年者の利益が害される可能性があると判断されるためです。
尚、相続財産が借金等のマイナス財産のみであってもこの前提は崩れません。
その場合でも未成年者のみが相続放棄をする際には特別代理人の選任が必要となるわけです。
借金も権利だという趣旨なのでしょうが実際どうなんでしょうね? - ずっと続くわけではありません
後見手続等とは異なり、特別代理人はあくまで期間限定のものです。
ずっと続くわけではありません。
目的となる法律行為(遺産分割等)が終了すればそれで特別代理人の業務は終了です。
その後は未成年者が成人するまで通常どおり両親が未成年者を代理することとなります。 - 誰を特別代理人にすべきか
これといった規定はありません。
利益相反行為に該当しない意思能力のある大人であれば誰でも大丈夫です。
ただし一般的には叔父叔母辺りの親族が選任されているケースが多いように思えます。
もしくは相続手続を依頼している司法書士などに依頼するのも手です。
相続登記等一連の手続を通して行えますのでスムーズですし、まとめての依頼なのでその分報酬が安くなったりもします。
ただ、我々司法書士にも得意不得意がありますので、皆が皆、引き受けてくれるわけけではありません。
尚、当事務所では特別代理人+相続登記(相続放棄)といった業務も受任できますし、それら一連の見積もりも作成可能です。
適宜ご利用下さい。
3.手続の流れ
司法書士九九法務事務所に特別代理人の選任手続をご依頼いただいた際の手続の流れについてご説明致します。
- 面談もしくは訪問によるご相談
ご依頼者様とは司法書士が必ず一度は面談させていただきます。
法律上、我々司法書士に本人確認義務が課せられているという点もありますが、それ以前にメールや電話だけではどうしても伝わりにくい部分があるからです。
- 相続財産管理人の選任手続に必要な書類の収集
特別代理人の選任手続をするのに必要な、戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)などを収集します。
司法書士が取得することができない書類もありますので、適宜ご指示させていただきます。 - 申立書の作成
聴取した内容と取得した関係書類の情報を元に、家庭裁判所に提出する申立書等を作成致します。 - 家庭裁判所への申立て
裁判所書類作成者兼送達受取人として司法書士が裁判所に申し立てを行います(家庭裁判所で代理人になれるのは弁護士だけであり、他に一部の司法書士だけが書類作成者になることが認められています。)。 - 特別代理人の選任
これにて手続上は業務終了となりますが、相続登記等とあわせてご依頼いただいているお客様はそちらの業務終了まで引き続きお付き合い願います。