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権利証?登記済証?登記識別情報?いったいどれが正しい??


いつもお読みいただきありがとうございます。


今回のテーマは、その"権利証"についての豆知識というか何と言うか―
僕の得意とする知っていたところであまり役に立たないシリーズです。

あるいは雑学としては面白いかもしれません。

お暇な方は是非ご覧ください。




<目 次>




1.権利証の正式名称とは?

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まず始めに―

  • 権利証
  • 登記済証
  • 登記済権利証
  • 登記識別情報


これらはすべて権利証を指す呼び名です。
権利"書"と呼ぶ人もたまにいますが、個人的には"書"ではないだろうと思っています。

ともあれ、1つの書類に複数の呼び名があるややこしい状況なわけです。



実際、僕自身、権利証の正式名称は?と、問われると、かなり困ってしまいます。



ちなみに現在、不動産等の権利を取得時に法務局から発行されるのは、登記識別情報(とうきしきべつじょうほう)です。

その点からすると、登記識別情報が正式名称のようにも思えますが...


間違えではないのですが、なかなか一律にそうとは言えない事情があるのです―





1-1.登記識別情報の誕生

登記識別情報とは現行の権利証のことです。


ようするに登記識別情報は昔から存在するものではありません。
現存する権利証のすべてが登記識別情報であるならば、そもそも正式名称で迷うことなどなく、単にそれが正規名称になっていたことでしょう。


その歴史もわりと新しく、登記識別情報は、平成16年6月の不動産登記法の改正により生まれました。
厳密に言うと、その法改正の施行が翌年の平成17年3月でしたので、そこが誕生の日付になるでしょうか―


その結果、従前までの権利証と新しい権利証の様相が大きく変わることになったわけです。

ちなみに現在の権利証である登記識別情報の見本画像がこちらです。


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※法務省HPより出典



本当に極端に変わりました。
見た目だけなら、もはや別物と言っていいぐらいでしょう。

全く見慣れない、と、言う方も多いのではないでしょうか?
もっと言うと、この画像は第2弾の登記識別情報です。

施行当初は磁気シールが貼ってあったものでした(現在は折り返し式に変更されています。)。


通常時は目隠しがされており見えないようになっていますが(理由は後述しますが、むやみにこれを剥がすことはお勧めしません。)、画像下部にある12桁の暗号、これが登記識別情報であり、現行の権利証なわけです。


従前の権利証は、紙そのものが権利証だったのに対し、現行の権利証は12桁の暗号という"情報"が権利証の代わりになっているのです。



まあ、なんと言うか、いまどきですよね...



もはや見た目が違うとかそういう部類の問題ですらなくなっています。

また、これに加えて時期的な問題等もあります。
詳しくは次項に...



1-2.従来の権利証と新しい権利証が入り混じる結果に

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既述のとおり平成17年3月施行された法律でしたが、日本にあるすべての法務局がその足並みを揃えられらたわけではありませんでした。


むしろ作為的だったのでしょう。
試験的に一部の法務局で実施し、問題がなければ徐々に全国に広げていくといった算段です。

それだけ大きな変更を伴いましたので、それ自体は致し方なかったと思います。



尚、国からオンライン庁の指定を受けた法務局が登記識別情報を発行できるようになっていたのですが、なぜかその記念すべき第一号法務局は―



さいたま地方法務局上尾出張所(平成17年3月22日運用開始でした。



当時、都内の司法書士事務所で補助者として働いてた僕も、なぜに上尾??と、思っていましたが、未だにその謎は解けていません。
もちろん上尾の法務局を馬鹿にしていたわけではありませんが、意表を突かれた感じとでも言いましょうか。



その後、上尾での運用で大きな問題が生じることもなかったため、次に東京法務局中野出張所(平成17年9月20日運用開始)がオンライン庁に指定、徐々に全国の法務局に広まっていったわけです(ちなみに平成17年11月28日に運用されているので、川口の法務局もかなり早い部類に入ります。)。



結果―


すべての法務局がオンライン庁の指定を受けたのが平成20年6月14日に入ってからでした。
実に3年以上期間を要したわけです。



これが意味することは、法務局によってその時期にバラツキが生じてしまったということです。

加えて、オンライン庁の指定を受けた法務局が新たに発行する権利証が登記識別情報になっただけであり、従前の権利証すべてが新しいものに切り替わったわけではありませんでした。




いわゆる、従前の権利証は引き続き権利証としての効力を有し続けることになったわけです。




もちろん、それは改正から10年以上経った現在でも変わりません。
従前の権利証と新しい権利証が入り混じっているのが実情なのです。


そして、これが権利証を一律に登記識別情報とは言えない一番の理由です。
まだまだ、従前の権利証が現役であるケースもかなり多いですから―


その統計があるわけではありませんが、おそらくはまだ登記識別情報よりも従前の権利証(効力のあるもの)の方がだいぶ多いのでは??


きっと登記識別情報が大半を占めるのは、何十年か先のことでしょうね。




1-3.そもそも権利証は正式名称なのか?

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本ブログ上でもそうですが、僕は"権利証"と表現することが圧倒的に多いです。


個人的な慣れもそうですし、おそらく最も知名度のある呼び名だと思っているからです。
ただし、"権利証"が正式な名称かと問われれば―



たぶん、違うと思います。



おそらく従前の権利証を表現する言葉としては、"登記済証"が最も近いのではと...
さっきから、たぶんとかおそらくとか、曖昧な表現が続くのにはもちろん理由があります。



従前の権利証にはこれと言った名前がなかったからなんです。



現行の権利証である登記識別情報には、もはやそのまま"登記識別情報"と印字がされています。
対して、従前の権利証の元は、対象となる登記の申請書(古いやつだと売渡証書だったりもします。)でした。

厳密に言うと、登記の申請書を2つ作り、その片方(申請書副本)に法務局から登記済みの印鑑を貰っていたのです(赤い四角い大判のやつです。)。


何が言いたいかというと、そこに元々名称なんて書いてないのです。


ただ、登記が済んだ証明書として、その書類のことを"登記済証"と呼んでいた歴史があり、それがいつの間にか定着した...
おそらくそれが事実です(あくまで僕が調べられた範疇の話ですので、諸説諸々あるかもしれませんが―)。



それがどのようにして権利証とも呼ばれるようになったかと言うと―



そもそも、登記済証とは、それを持つものが登記名義人であることを公的に証明する書面です。


権利(所有権等)を証明する書面...
略して、権利証...


なので、冒頭で権利"書"はおかしいだろうといった趣旨の話をしましたが、あながち間違ってもないのかもしれませんね。
どこで略すかの問題なので(僕はそれでも権利証派です。略すにしても"書"の部分を残さないでしょ普通。)。



結果―


それらの言葉が混ざり、"登記済権利証"なる呼び名も生まれたという感じでしょうか。


よって、少なくとも僕は権利証は一般的な呼び名であって正式名称ではないと考えています。
あえて言うなら登記済証ですが、それも怪しいという...




1-4.結論からしてなんと呼ぶのが無難か

少なくとも現行の登記識別情報が正式名称であることに異論はありません。
ただし、既述のとおり、一律に登記識別情報と言うのはどうかと...


であれば、登記識別情報と登記済証(もしくは登記済権利証)を使い分けるのはどうなんでしょう?


ある意味、正しさで言えばそれが一番かと。
分かりにくさ、伝わりにくさは残りますが...



結局、しっくりくるのはやはり"権利証"です。



正式名称ではないかもしれませんが、従前の権利証にこれと言った正式名称がない以上、もはやそこにこだわる必要性は感じられません。

また、権利証は元より別名ですので、登記識別情報とそれ以外をわざわざ分ける必要もないでしょう。


加えて認知度も1番と言うのであれば、呼び名として無難なのは権利証なのではないでしょうか??


ちなみに法務局の方の多くも権利証と呼んでいますし...



2.登記識別情報の取り扱い上の注意点について

これまでの話の流れとは多少ずれてしまいますが、せっかくなのでここで登記識別情報の取り扱い上の注意点についてもご紹介致します。


既述のとおり、現行の権利証は登記識別情報であり、12桁の情報自体がその役割を担っています(紙の部分は単なる台紙でしかないわけです。)。


参考画像をもう一回載せましょうか―


shiki3.jpg


この画像は説明のため開封してありますが、登記完了時はこれが見えないように封印処置が取られています。


なぜか??


まあ、不動産版のマイナンバーのような趣旨と言えば分かり易いでしょうか―
少なくともこの12桁の暗号は他人に見られてよい部類の情報ではないからです。


この用紙自体は手元に残っていたとしても、重要な情報部分が他に漏洩してしまっているのであれば、それは権利証の盗難に遭ったのと大差ありません。


対策としては、自分では剥がさない!これに尽きます。


実際に権利証を使用するケースは限られています。
代表的なところで言うと、売買、住宅ローンのお借換えといったところでしょうか...

いずれも手続には登記の専門家である司法書士が絡みます。
面倒な手続は司法書士に任せてしまいましょう。


尚、何らかの理由で重要な情報部分が他に漏洩してしまった(もしくはその可能性が高い)場合は、登記識別情報の失効の申出手続も存在します。

ただし、一度失効してしまうと再度の復活はできません。
それ以降、ずっと権利証がない状態が続くわけです(本人確認情報等で代用することとなります。)。


安易に行うのではなく、よく考慮した上での行動が求められということですね。


3.まとめ

今回は権利証の正式名称を中心にお送りさせていただきました。
尚、一部、根拠のない僕の想像が多分に盛り込まれているところもあるため、当記事内容は参考程度に捉えていただけると幸いです。

ともあれ書いている分には楽しかったですが、いったいこの情報を誰が求めるのか...と、言う、大きな問題がちらついています。

まあ、たまにはこんな感じもいいかと思い込む他...


それでは今回はこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一