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戸籍の附票の表示内容が変わりました~原則、「本籍・筆頭者」が記載されないことに~


いつもお読みいただきありがとうございます。


さて、今回は「戸籍の附票」についてのお話しです。
尚、戸籍の附票自体、一般的にあまり知られていない書類なのかもしれません。
取得したことも、聞いたこともないという方も多いのではないでしょうか?

ただ、僕等司法書士にとっては、手続上、かなり馴染み深い書類の一つなのです。
それがここに来て諸々の変更が―

それはいったいどういったものなのでしょうか?



1.戸籍の附票とは?

兎にも角にもまずはここからでしょう。

戸籍の附票とは、本籍地の市区町村において戸籍の原本と一緒に保管されている書類であり、対象となる戸籍が作成されて(もしくは、対象となる戸籍に入籍してから)から現在に至るまでの住所が記録されている書類です。


ようするに、住所の履歴書みたいなものですね。
住民票には基本的に前住所しか記載されませんが、戸籍の附票であれば対象となる戸籍が作成されて(もしくは入籍して)からの住所の変更経緯が全て載ってきます。


結果、住所の変更経緯を証明する必要のある登記手続(相続や住所変更手続)などで、無類の利便性を誇る書類となっているわけです。

ちなみに、対象となる戸籍から全員が除籍となると「除附票」と、また、保存期間の問題がありますが、改製前の古い附票のことを「改製原附票」と呼んだりもします。



2.令和4年1月11日から戸籍の附票の表示内容が変わる?

その戸籍の附票ですが、直近に表示内容に変更がありました。

お恥ずかしながら、僕自身、変更情報を把握できていなかったのですが、別件で取得した戸籍の附票が既に変わった後のものでした。
そこではじめて今回の変更に気が付くに至ったわけです。

たまたま、手続的にその戸籍の附票でも間に合ったものの、他の手続であれば取り直す必要が生じるところでした...


では、どう変わったのか?
おそらく、これが一番分かり易いと思うので、新旧の対比にしてみることにします。

戸籍の附票の表示内容(旧)

  1. 氏名
  2. 住所
  3. 住所を定めた年月日
  4. 戸籍の表示(本籍・筆頭者)
  5. 在外選挙人名簿登録情報(国外に住所があり、選挙人名簿に登録している方)


以前のものです。
これが・・・次のように変わりました。

戸籍の附票の表示内容(新)

  1. 氏名
  2. 住所
  3. 住所を定めた年月日
  4. 生年月日
  5. 性別


なぜかここにきて生年月日と性別が追加されたわけです。
そして、以下の2点が原則表示されないことに―

  • 戸籍の表示(本籍・筆頭者)
  • 在外選挙人名簿登録情報


尚、原則表示されなくなっただけであり、必要となる理由を具体的に申請書等に記入することで取得が可能となります。
いったいどういう趣旨なのでしょうね?

在外選挙人名簿の方はまだいいとしても、戸籍の表示(本籍・筆頭者)なんかは使用する機会がたくさんあります。
相続登記で利用する戸籍の附票などが良い例です。
あれは戸籍上の人物と登記簿上の人物を繋ぐ書類ですので、戸籍の表示(本籍・筆頭者)は必須です。
それがいつも通りな感じで戸籍の附票を取得していると、書類不備になってしまう恐れがあると...

誰かしらに怒られちゃいそうですが、私的にはあまり嬉しい変更ではありません。

ただ、より住民票に近寄ったと思えば、分からなくはないかな?とも思います。
既述のとおり生年月日や性別も載るようになりましたし、住民票の本籍も希望しないと載りませんしね。
もう変わってしまったものですから、これ以上とやかく言うのは止めにしましょう。


ちなみに、今回の変更の元となる法律は以下のとおりです。


情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第 16 号)による住民基本台帳法(昭和42 年法律第 81 号。以下「住基法」。)の一部改正


すごいですよね。
中身よりも法律名の方が難しいという...

それでは短めですが今回はこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一