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債務整理借金の内容が手続に及ぼすこと
1.免責不許可事由
財産がなければ、借金を支払うことができなければ、誰しもが簡単に自己破産をすることができるのでしょうか?
答えは当然"否"です。
そんなわけはありません。
これまでご説明してきましたとおり、自己破産の効果は非常に強力なものです。
借金を支払わなくてもいいというお墨付きを国から貰うわけですから・・・
単に財産がない、支払うことができないというだけで、簡易に破産できるとするならば、それを悪用する輩が増大するでしょう。
そこで裁判所は一定の行為についてある規定を授けました。
それは、「このような行為をしている人については、ちゃんとその事情を説明しないと簡単には破産させませんよ!」というものです。
これを"免責不許可事由"と言います。
免責不許可事由の具体例
1.一カ月5万円以上の飲酒,飲食,エステ,風俗,その他遊興のための支出
※金額は管轄する裁判所によって若干異なるようですが(以下、同様。)、ようするに遊びでできた借金です。
2.ギャンブル(パチンコ,競馬,競輪等)
※趣味程度であれば問題ないですが、手続上、過度なギャンブルは非常に嫌われます。
3. 投機・投資(株式,先物取引等)
※当然、それにかかわる職業外の人についての話です。ギャンブル同様嫌われます。
4.旅行(社員旅行・研修旅行は除く。)
※その頻度、使用金額等が問題となります。
5. 高価品の購入(不動産,自動車,絵画等)
※概ね10万円以上の購入品がその対象となります。
6. 換金行為
※代表的なものが、クレジットカードのショッピング機能を用いた新幹線のチケット売買です。その他、最近はクレジットカードのショッピング枠自体の売買もありまが、それも同様です。
7.偏波弁済
※不当に一部の債権者だけに返済したり、担保を提供したりすることを言います。
8. 既に支払不能の状態にあるのに無いかのように債権者を騙してさらに金銭を借り入れた場合
9.この他、破産手続に入った後、裁判所に対して財産状況について虚偽の説明をした場合や、自分や他人の利益のために債権者に害を与える目的で、財産を隠したり、その価値を減少させた場合なども免責不許可事由にあたります。
ここで注意いただきたいのは、これらに当てはまるものがあるからと言って、即破産手続を取れないわけではありません。特に1~5に当てはまる人など沢山いるでしょう(私だって当てはまります。)。
行為自体が問題ではなく、それが借金をする、もしくは増加する原因になっていないかが問われるのです。
Q.借金の原因は?
A.ギャンブルと風俗です。
と、いった事例です(+_+)
とは言え、単純に借金をしたすべての原因がギャンブルです、風俗です、という人はそういません。また、いたとしてもその背景にはそれ相応の事情が存在します。それをうまく釈明することによって、無事、裁判所から免責決定を得ることは十分に可能なのです。
「自己破産ができないのではなく、簡易にすることができなくなる。」
あくまでそういう理解でいて下さい。
稀に自分の借金の原因がギャンブルだからと言って、自暴自棄になってしまう人がいます。
反省と自暴自棄は違います。
全く別のものです。
極端な人は自殺を考えたりもします。
ちまたで借金を苦に自殺・・・っといった話を聞いたことはありませんか?
死者に文句を言うつもりはありませんが、それこそ全くもって間違った判断です。
仮にそれをしたところで借金は無くなりません。
相続人が相続しますから。
相続人は預金や不動産等のプラス財産だけではなく、借金などのマイナス財産も相続します。
相続放棄等、相続人側にそうなることを防ぐ手続もありますが、絶対ではありません。
誤って相続人が借金の支払いを行ってしまったり、法定の期限を経過してしまったりすると、相続放棄ができない場合だって生じてしまいます。
また、保険金を目当てにするのもやめましょう。
であるならば、保険を解約したお金(解約返戻金)で支払いができないのかを考慮しましょう。
元々、借金の返済のために保険に入る人などそういません。
せっかくの財産は適切に使用すべきです。
借金を負ってしまったこと自体は、理由はどうあれ深く反省すべきです。
ただし、それによってあなたの自身の人生をわざわざ狂わすべきではないですし、ましてや周囲の人間に迷惑をかけるべきでもない。
どうしても狂ってしまうのなら、どうしても迷惑がかかってしまうのなら、それを最小限に押さえることに尽力しましょう。
イメージが悪く、相応のデメリットのある手続ですが、『自己破産』はそれができる手続の一つです。