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債務整理住宅ローンが苦しいと思い始めたら
今回は住宅ローンのお話です。
とは言え、どの金融機関の住宅ローンがおすすめと言った類のものではなく、どちらかと言えば、その返済に困ってきた場合の対処法等についてのお話です。
最近では司法書士九九法務事務所のある埼玉県川口市近辺でも、住宅ローン絡みの相談が増えてきました。
巷で言うところ好景気などはどこ吹く風と言ったところでしょうか―
加えて、来る平成31年10月1日(2019年10月1日)には消費税の増税(8%⇒10%)が予定されています。
そこまで強く意識していませんでしたが、もう1年を切っているんですね。
現時点で住宅ローンの返済が苦しいと感じている方にとっては、こうした時代の変化が更なる試練にならないとも限りません―
少しでもご自身や家族の住宅ローンに不安を持っている方は、どうぞ最後までお付き合いください。
目 次
- 1.住宅ローンが苦しいと思い始めた時が相談時
1-1.住宅ローンの本質は"借金" - 2.住宅ローンが苦しくなった原因は何か?
2-1.住宅ローンの支払い苦に陥ってしまう代表的な原因 - 3.住宅ローンが苦しく感じたらまずやるべきこと
3-1.家計簿の作成
3-2.住宅ローンの借り換えを検討
3-3.住宅ローン先である金融機関への相談
3-4.司法書士への相談 - 4.住宅ローンが苦しいと思い始めたら まとめ
1.住宅ローンが苦しいと思い始めた時が相談時
借金相談全般に言えることではありますが、特に住宅ローン絡みのご相談は、最初の面談の時点で既に手遅れに、もしくはそれに近しい状況になってしまっているケースが多々あります。
せめて半年前、できれば1年前に相談してくれてさえいれば―
そう、思ったことは1度や2度ではありません。
ただし、そうなってしまう理由も理解できないわけではありません。
まず住宅ローンの相談自体どこにすればいいのか??
そう言う根本的な問題があるでしょうから―
あまり吟味せずに下手なところに相談してしまうと、何よりも不動産の売却を前提に動かれてしまうかもしれません。
『住宅ローンの返済が苦しい=任意売却』
世間にはそう言う風潮が少なからず定着してきていますので。
とは言え、任意売却自体が悪いと言うわけでは決してないですよ。
任意売却も住宅ローンの支払い苦に対する解決方法の一つですし、実際に僕が関わる案件でもそれを用いることはあります。
良い悪いという話ではなく、もっとあらゆる可能性を検討した上で個別に判断すべきものなのです。
大切なご自宅を手放すのは最後の手段として取っておきませんか?
なるべく自宅を手放なさなくて済む方法を一緒の考えていきましょう。
1-1.住宅ローンの本質は"借金"
明らかに相談するタイミングが遅れたであろう方は概ね同じような事を言います。
- どこに相談すればいいか分からなかった―
住宅ローンを複数回滞納してしまったり、他の借金や滞納税金等を多く抱えてしまっている状態だと、解決に向けての選択肢が狭まってしまうことは事実です。
とは言え、住宅ローンが苦しいと思われる方の大半は自己破産や自宅を手放す覚悟した段階でないと、なかなか具体的な行動に移れないようです。
その理由はおそらく冒頭のとおり―
もちろん、それには我々相談を受ける側の責任もあるでしょう。
過払い金のようにもっと世間に情報を発信すべきなんです実際。
ただし、相談する側も、考え方を少しだけ変えてみてください。
借金の相談であれば誰にしますか?
弁護士、もしくは司法書士が思い浮かぶのではないでしょうか?
住宅ローンの本質は間違いなく"借金"です。
司法書士は、住宅ローンそのものについての相談には不向きかもしれませんが、少なくとも住宅ローンが苦しいと思った際の相談先には向いているのです。
仮に住宅ローンが苦しいと思い始めたら、それ以上状況が悪化する前に、借金の専門家である司法書士に相談してみてはいかがでしょうか?
2.住宅ローンが苦しくなった原因は何か?
これまで問題なく支払えていたはずの住宅ローンが苦しくなる原因は何なのでしょうか?
もちろん、細かい原因などはその人によって異なってきますが、大枠で言うといくつかの典型例に分けることができます。
ともあれ、まずはそれを見てみましょう。
2-1.住宅ローンの支払い苦に陥ってしまう代表的な要因
- 本人の収入の減少
まず一番最初に想像したのではないでしょうか?
やはりこれが最も多いです。
また、最近の傾向だと単なる収入の減少というよりは、勤務先での残業代の減少が直接の原因になっているケースが散見されます。国の掲げる"働き方改革(正式名称「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」)"が住宅ローンの返済に苦しむ要因になっているというわけです。
もちろん、働き方改革そのものが悪いと言っているわけではありません。
むしろ時勢にあった法律であり、本来であればもっと推奨されるべき法律です。
ただし、その変化に対応できていない方も多くいるというわけです。
本来であれば残業代もそうですが、ボーナスや退職金を当てにして住宅ローンを組むこと自体に問題があります。
いずれも、いつなくなってもおかしくはないものなのですから。
とは言え、それらを当てにして既に住宅ローンを組んでしまったのであれば、今更どうしようもありません。
そのような場合は、なるべく住宅ローンの繰り上げ返済や貯蓄を心掛け、万が一の事態に対応できるよう準備しておきましょう。 - 配偶者の収入の減少
既婚者の共働きの割合が年々増加傾向にあるようです。
共働き世帯が専業主婦の世帯の1.4倍となるような統計もあるぐらいですし、現時点ではもっと増えているのではないでしょうか?
そうなると住宅ローンにも変化が生じます。
俗に言うペアローンの増加です。
夫婦でそれぞれ住宅ローンを組み、互いの収入を当てにその支払いを行っていくと言うわけです。
その他、ペアローンでなくとも妻が連帯債務者になったり、連帯保証する場合なども同様です。
これにより夫の収入だけでは手の届かなかった不動産を購入することが可能になったのはいいですが、あくまでそれは想定通りにいった場合の話です。
予定外の子の出産や失業等、何らかの原因で配偶者の収入が減少してしまうと、夫の収入だけでは住宅ローンの支払いに対応できなくなってしまうというわけです。
ペアローン自体を否定する気はありません。
とは言え、夫婦互いの収入を丸々当てにするのはリスキーですし、上記同様現時点でそうであれば、なるべく住宅ローンの繰り上げ返済や貯蓄を心掛け、万が一の事態に対応できるよう準備しておきましょう。 - 転職
転職はうまくいく場合もありますが、その逆も然り。
自主退社ですと、すぐに失業保険は出ませんし、無事転職が叶ったとしても試用期間中は給与が少ないことが多いです。
その間、住宅ローンの滞納をしてしまい、それが原因で自宅を手放さなくてはならなくなってしまうような事態も―
想定通りにいかないことも念頭の上、なるべく余裕をもって事にあたるようしましょう。 - 失業
リストラ等に限らず何らかの原因で自主退社するような場合も含みます。
今も昔も、住宅ローンの支払い苦に陥る代表的な原因と言えるでしょう。 - 離婚
離婚も代表的な住宅ローンの支払い苦の原因と言えるでしょう。
慰謝料や養育費等、離婚に伴う様々な出費もそうですし、配偶者の収入が見込めなくなるという点でもそれを誘発し易いと言えます。
また、同居家族が減ることもあってか、離婚に伴う住宅ローンの支払い苦はそのまま任意売却に至るケースが圧倒的に多い事案とも言えます。 - 病気
最近ではサービスも向上し、住宅ローンに8大疾病(癌、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)保証が付いているようなものもあります。
そのため、あまり「病気=住宅ローンが苦しい」という絵面が思い浮かべない方もいることでしょう。
しかしながら、これら疾病保証はそうそう簡単に適用されるものではありません。
あくまで病状や入院期間等、厳しい要件をすべてクリアーする必要があるのです。
また、体感的には8大疾病のような大病よりも、最も身近な病気で住宅ローンが支払えなくなっているケースの方が多いように思えます。
昨今で言うと、鬱病等、精神的なものに不随するケースです。
それを原因に就業不能になったり、休職したりすることで住宅ローンが支払えなくなってしまうわけです。 - 教育費の増加
住宅ローンは、まだ子供が産まれていないか、産まれ間もない頃に組まれることが多いと言えます。
新しい家族が増え、マイホームの購入意欲が湧き上がるためでしょう。
ただし、子の出産に伴う生活費や教育費の増加をうまく想定しきれていないケースが多々あります。
結果、ついつい子の習い事や進学に注力を注ぎ過ぎ、住宅ローンの支払いに影響が出てしまうわけです。 - 他の借金の支払い
住宅ローン以外の借金の支払いを原因にするパターンです。
最後に書いてはいますが、何気にこれも多いです。
ギャンブル等の遊興から積み重なった飲み代までその原因は人それぞれです。
ちなみにこのケースが最も解決し易いです。
離婚した配偶者との復縁やなくなった残業代を元に戻すのは困難極まりないですが、この場合だと住宅ローン以外の借金問題を解消するだけでいいので―
もちろん、安定した相応の収入が必要だったりと、全くの無条件と言うわけではありませんが、傷が深くなる前であれば解消する可能性も高まります。
ともあれ借金の専門家へのいち早い相談をお勧めします。
「個人再生手続(小規模個人再生、給与所得者等再生)/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/service/bankruptcy/post_47/
概ね上記の内のどれかには当てはまるのではないでしょうか?
大切なことはまず自覚することです。
何がその原因になっているのか?
その上で、何ができるか?
具体的な解決方法については次にご説明しますが、自覚できていないとあまり効果が望めないというか、その行動を取れないと思いますので―
3.住宅ローンが苦しく感じたらまずやるべきこと
すぐにご相談いただくのがベストです。
ただし、それでも専門家にはなかなか相談しにくい―
そう思う方も多いでしょう。
どうも、弁護士に限らず司法書士もまだまだ敷居が高く思われがちなようですので。
で、あれば、まず次のことを実践してみてはどうでしょうか?
3-1.家計簿の作成
いきなりアナログな手法の紹介ですが、何気に最も効果的だと思っています。
それもなるべく細かく家計簿をつけるようしてください。
ざっくりした家計簿ではあまり意味がありません。
それなら時間がもったいないのでやらない方がマシです。
手書きでもアプリでもなんでもかまいません。
とにかくしっかりつけ、できればその情報を家族で共有しましょう。
奥さんだけが必死にコツコツ家計簿をつけていても、旦那が何も把握していないのでは効果は半減してしまいます。
『意識も情報も共有』
それがコツです。
ちなみに僕が実際に受任する顧客の大半も、まずはここから始めています。
家計の無駄を見付け、それが改善できるものなのかどうかを検証してみましょう。
例えば保険などはどうなっていますか?
無駄はありませんか?収入と保険料のバランスはとれていますか?
食費は?
教育費が高すぎはしませんか?
それが今、本当に必要かどうか―
そして、優先順位を付けましょう。
同じ生活習慣を続けても改善は見込めません。
ましてやご自宅を失いかねい事態なのですから、落とせるのであれば生活レベルを落とすべきなのです。
高過ぎる保険の切り替えや、無駄な車等の処分、意識を少し変えるだけでも支出は随分減ります。
まずは行動してみましょう(必要であれば各業者のご紹介も可能です。)。
3-2.住宅ローンの借り換えを検討
住宅ローンの負担そのものを軽減しようという試みです。
これが実現できるのであれば、それだけで万事解決となるでしょう。
住宅ローンの借り換えを行うことによって、総支払額や毎月の返済額が少なくなるだけではなく、支払期間の短縮も望めます。
既存の住宅ローンの内容次第な部分はありますが、想像以上の効果が出ることもしばしば―
それが可能であるならば是非とも検討してみてください。
とは言え、超えるべきハードルもそれなりに高いので注意が必要です。
本来、住宅ローンの借り換えは苦しくなってから行うものではありません。
将来、住宅ローンの支払いに苦しまないよう、損をしないよう、事前に計画して行うものだからです。
既に住宅ローンや他の借金の返済を滞っているような状態だと、個人情報の関係(ブラックリスト)で借り換えを実現できる可能性は極めて低いです。
また、たとえ返済が遅れていなくとも、住宅ローン以外の借金が多くあるだけでも銀行の審査は厳しいものになってしまうでしょう―
それだけではありません。
仮に住宅ローンの借り換えができる状態にあったとしても、闇雲に行っていいわけではありません。
そもそも既存の住宅ローンの金利はいくらですか?
低金利の住宅ローンを借り換えるメリットはありません。
銀行や保証会社への手数料等を加味すると、むしろデメリットにすらなりかねません。
最低でも残りの住宅ローンの支払期間が相応に残っており、借り換えによって1%以上金利が変わるようなら検討してみてはいかがでしょうか?
それによって、不安定なボーナス払いを外し、貰えるかどうか不確かな年金に頼らなくてもよい状態になればベストです。
3-3.住宅ローン先である金融機関への相談
住宅ローン絡みの問題を語る上で大きなポイントになる部分があります。
それは―
- なるべく住宅ローンの返済を滞納しないようにする
当たり前かもしれませんが、これ、物凄く大事なことなんです。
住宅ローンの借り換え時もそうですが、その後の色々な局面において住宅ローンの滞納が有る無いでは結構な違いが出てきます。
ただし、それにとらわれ過ぎるのも良くないです。
例えば、住宅ローンの支払いに固執するあまり、他に借金をしたり、固定資産税等の税金を滞納してしまっては元も子もありません。
では、どうすべきか?
まずは住宅ローンの返済を滞納する前に、他で借金をしてしまう前に、住宅ローンの借入れ先の金融機関に相談してみてください。
住宅ローンは、他の借金と比べると困ったときの融通をきいてくれることが多いのです。
結果、次のような効果が望めることがあります。
- 一定期間住宅ローンの返済額を減らし、後に減らした分を上乗せして支払う
あくまで臨時の、期間限定の処置にはなりますが、例えば住宅ローンの利息分のみを支払うとか、10万円の返済を5万円にしてもらうなどして、毎月の負担を下げてもらうわけです。
これであれば双方合意の上ですので、住宅ローンの滞納扱いなどにはなりません。
ただし、所詮は一時凌ぎに過ぎませんので、抜本的な問題が改善しない限りは、次の具体的な行動が必要となります。
あまりにも長くこの処置を取ってもらっていると、結局、後で更に苦しむことになりかねませんから―
尚、住宅ローンの返済期間に余裕がある場合は、それを延長して毎月返済額を減らす方法もあります。
ただし、それしにてもリスクの先送りな点は否めませんので、実行する場合は慎重な検討が必要な点は言うまでもありません。
3-4.司法書士への相談
本当はいの一番に相談いただきたいところですが、上記3-1~3-3を検討、もしくは実行しても状況が改善しない場合は、もはや自力での問題解決が困難な状況にあると言うことです。
相談は無料ですので、まずはご連絡ください。
もちろん、専門家と言えどできることには限界がありますし、状況によっては必ずしも望んだ結果にはならないかもしれません。
ただし、驚くほどうまくいくケースがあることも事実です。
自暴自棄になるのではなく、その時点での最善を一緒に考えていきましょう。
4.住宅ローンが苦しいと思い始めたら まとめ
住宅ローンは長期的なものですので、苦しくならないように、苦しくなる前に、諸々の対処をすべきではあります。
ただし計画通りにいかないのが人生―
離婚や失業などを想定して家を買う人はそんなに多くはないでしょう。
また、単に収入だけの問題でもありません。
たとえ年収が高くとも、住宅ローンに苦しんでいる人は少なくないですから。
住宅ローンの支払苦は誰にでも起こり得ることなのです。
差が出るとするならば、いかに早く対処したか、いかに早く決断したか、という部分です。
あなたならそうした事態にどういう行動を取りますか?
では今回はこの辺で。