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親族、親戚、家族の定義とは?


いつもお読みいただきありがとうございます。



あっと言う間に11月なのも驚きですが(なんと今年も2カ月を切っています...)、ここまで暖かい11月と言うのはもっと驚きです。
過ごしやすくて良い点もありますが、それにも限度があると言うか...
日々の生活に何かしらの悪影響が生じるのではないか心配ですね。



さて、そろそろ本題へ。

ここのところ実務的な記事内容が続いていましたので、今回は少しばかり趣向を変え、ちょっとした法律の豆知識のような内容でお送りさせていただきます。

まあ、これらを知っていたからどうこうなる程のものではありませんが、本来、豆知識なんてものはそんなもんです。

実生活で全く役に立たないわけでもないので、よろしければ最後までお付き合いいただければ―




<目 次>



1.法律上の親族の定義

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では、まず"親族"からー


おそらく、「親族」、「親戚」、「家族」の中で最も馴染みの少ない単語なのではないでしょうか?
日常生活ではあまり使いませんからね。

ただ、僕のように日々法律に関わる仕事をしているような人間にとっては、何ら違和感のない単語でもあります。


なぜなら、"親族"とは、民法上定義されたれっきとした法律用語だからなのです。


それではここで該当する民法の条文を少し―


民法第725条(親族の範囲)
次に掲げる者は、親族とする。
一  六親等内の血族
二  配偶者
三  三親等内の姻族


これらに当てはまる者が親族に該当するという、ある意味凄く分かり易い条文です。


とは言え、あらかじめ"親等(しんとう)"や"血族(けつぞく)"、"姻族(いんぞく)"という単語の意味を理解できていないと、何を言っているのかさっぱりな部分もあるでしょう―


そのため、次項にて簡単にそれらの説明していくことと致します。




1-1.親等(しんとう)とは?

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それでは"親等"の説明からです。


中学生ぐらいだったかな?
学校の授業でも確か出てきたはずなので、既に知っている人も多いかもしれませんね。

また、相続の基本でもありますので、何らかの資格を取得する際に勉強したという人も多いのでは?



親等とは、親族間の関係を表す言葉の一種です。



最も近いとされる関係にある親族が1親等、その次が2親等といった具合に続いていきます。
親等の数え方としては、同一の始祖(父母、祖父母等々)まで遡ってから数えていくイメージです。
基本、「縦」に数えるとでもいいましょうか―


例えば、1親等は、1つ上の世代である父母と、1つ下の世代である子が該当します(直近の縦関係ですね。)
ちなみに兄弟姉妹は、一度父母に遡ってから(兄弟姉妹にとっての同一の始祖は当然父母です。)、1つ下りてくるので2親等、祖父母は父母に遡って更にもう1つ遡るので同じく2親等になります。



どうでしょう?まだ、分かりにくいですかね??
それでは、もう少しだけ例題を続けてみます。



それでは叔父は何親等になるのか?


親等は同一の始祖まで遡って数えるわけですから、まずそこから考えていきましょう。


叔父と同一の始祖は誰かと言うと・・・

祖父母ですよね。
叔父は父又は母の兄弟ですから、同一の始祖となると該当するのは祖父母です。

となると、既述のとおり祖父母は2親等ですから、その一つ下の叔父は自分からみて3親等ということになるわけです。


では、いとこはどうでしょう??


簡単ですね。
いとこは叔父叔母の子です。
となると、叔父叔母から一つ下がるだけですから、単純に4親等という答えを導き出すことができるわけです。

簡単に図解してみると、より分かり易いかもしれませんね。






1-2.血族(けつぞく)とは?

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これについてはそんなに説明はいらないのではないでしょうか?
そこそこメジャーでしょうし、そうでなくとも単語からある程度連想できてしまうというか―


血族とは、そのまま血縁関係にある者を指します。
ようするに血縁者ですね。

基本的には、血の繋がりがある者と認識して問題ありません。


ただしー


厳密に言うと、単純な血の繋がりだけとは限りません。
法律上の血の繋がりとでも言いましょうか―


いわゆる、例外的なものがないわけもないのです。


代表的なところで言えば"養子"でしょう。

養子の形態は様々です。
元々、養子と養親に血の繋がりがある場合(孫が祖父母の養子になるような場合)もあれば、もちろんそうでない場合(全く血縁関係のない第三者が養子になるような場合)もあります。


それでは、これらの養子は血族とそうでない養子とに分かれてしまうのでしょうか?



答えは、"否"です。



そんなわけはありません。
養子は養子縁組によって嫡出子と同じ身分を取得します。
法律上、実子と何ら変わりないのです。


結果、たとえ実際の血の繋がりはなくとも、どの養子も養子縁組の時点でれっきとした血族となるわけです。


対して、非嫡出子(未認知の子)は、たとえ実際の血の繋がりがあったとしても、認知されるまでは血族にはなり得ません。

単純に未認知のままでは戸籍等によって法律上の血の繋がりを証明する手立てがないからなのです。


法律上、血縁関係を証明できるか否か―
そうした部分も重要なのです。


1-3.姻族(いんぞく)とは?

"親等"同様、確かこれも学校で習ったはずです。


姻族とは、婚姻によって生じた親族関係のことを指します。
配偶者側の血族との関係性とでも言いましょうか―

例えば、本人から見て、「配偶者の両親」「配偶者の祖父母」「配偶者の兄弟姉妹」「配偶者の甥・姪」などはすべて姻族に該当します。


尚、既述のとおり姻族は婚姻によって生じる親族関係ですので、その効果はあくまで配偶者双方の間で生じるものであり、その他の者の間で姻族関係が生じるわけではありません。

いわゆる、夫と妻側の両親、妻と夫側の両親は姻族になりますが、妻の両親と夫の両親間に直接姻族関係が生じるわけではないということなのです。


当たり前と言えば当たり前のことなのですが、ちょっとこの辺りがと姻族の分かりにくいところですよね。


尚、姻族の数え方は、親等の場合と同様になりますので、上記を参照いただければ―




1-4.親族の範囲は意外と広い

それでは、以上の知識を基に改めて親族の範囲を考えてみましょう。


親族の定義は親等で言えば、6親等内の血族であり、3親等内の姻族です。


分かりますか?
随分広く設定されていますよね...


例えば、いとこの孫などが6親等の血族に該当し、3親等の姻族と言えば、配偶者の叔父叔母などです。
かなり遠い親戚といったイメージですよね。

少なくとも僕自身は3親等内の姻族はまだしも、6親等内の血族にはこれまで会ったことがありません。
むしろ、存在するのかどうかのレベルです。

おそらく、当時の時代背景が多分に影響された結果なのでしょうが、特にこれと言って改正する必要性もなかったので、そのまま現代まで続いてきた結果なのでしょうー



ちなみに言うと、ある意味、最も関係性が近いはずの配偶者は、血族にも姻族にも該当しません。
そればかりか親等すらもありません(あえて言うなら、0親等?)。


配偶者は配偶者とでもいいましょうか―


ともあれ、条文にも記載のとおり配偶者は親族には該当するのです。
なんとも不思議な法律ですよね...




2.親戚とは?法律用語ではないのか??

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まずはじめに―


"親戚"は、聞きなれた言葉ではありますが、法律用語ではありません。
既述のとおり民法には親族の規定が存在しますが、「親戚」の規定はどこにもないのです。



ようするに親戚を定義する法律自体が存在しない―



結果、親戚の範囲はかなり不明瞭になっています。
それこそ住んでいる地域によっても異なるぐらいに...


それを踏まえた上でかなり無理矢理にでも親戚を表現すると―



遠めの親族や、法律上では姻族と親族には該当しない血族や姻族とでも言いましょうか...



ともあれ、これに対する正しい答えはおそらくありません。
もはや概念に近しい呼び名なのです。


尚、上記の説明からも分かるとおり、親戚は親族よりも広義な意味で使用されることが多いとは言えます。


薄めの親族関係のようなものと理解する他ないでしょうね...




3.家族とは何か?

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ある意味、最もメジャーな呼び名ですよね。


では、具体的にどこまでが家族か?と、問われるとどうでしょう??
親族のように民法でその範囲が明確に定められているのか?もしくは親戚のように概念に近しい呼び名なのか?


なんとなく想像できるでしょうが、親戚同様、民法に"家族"に対応する条文は存在しません―


正直、僕もそれ以上はよく分からなかったので、これを機に色々調べてみることにしました...



結果ー
よく分かりませんでした...



尚、民法ではなく、雇用保険法第61条で"対象家族"として次のような表現がされていました。
参考までにご紹介します。


~の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、父母及び子(これらの者に準ずる者として厚生労働省令で定めるものを含む。)並びに配偶者の父母をいう。以下この条において同じ。)



内縁の妻も含まれていますね。
親族の定義で言えば、当然、内縁の妻が含まれることはありません。
であれば、その範囲は親族よりも広いようにも思えますが、その他の該当者は同居の親族レベルです。

その点からすると、むしろ家族が最も狭い範囲のようにも判断できます...

ただし、これはあくまで雇用保険上での家族であるため、これがそのまま正解になるとは思えません。
あくまで参考レベルの話です。


尚、大辞林では、家族を、"夫婦その血縁関係者を中心に構成され、共同生活の単位となる集団"と表現しています。


概ね雇用保険法と同じことを言っていますね。
ただ、ここでも血縁関係は必須ではないようです―

おそらくここには内縁の妻も含まれ、場合によっては第三者やそれ以外のものも含まれるのかもしれません...


結論からすると、残念ながら親戚同様、家族を定義づけることは困難なようです。


ある意味で言うと、親戚や親族よりも狭い範囲を示しつつ、法律上の血縁関係や、それこそ種族を超えて幅広く表現することもある―


そのような単位に思えます。


まあ、こんな事を言っては本末転倒なのですが、そもそも家族なんてものはわざわざ定義するようなものではないのでしょう―


家族の範囲は、それぞれがそれぞれで決めるもの。
どうやら、それ以上の解釈を求めるのは無粋なようです。




4.まとめ

いかがでしたでしょうか?
個人的にも興味のある部分でしたので、当ブログ作成にあたって色々調べてみましたが、むしろ灰色具合が濃くなった言うか何と言うか...

曖昧な表現が多くなってしまった点は申し訳ない限りです。

ただ、親族や親等、姻族の部分は知っていて損はありませんよ。
身近なところで言うと、後見の申立時なんかで絡んできます。

後見の申立は誰でもできるわけではありません。


本人、配偶者の他、4親等内の親族という規定が存在します(その他、市区町村長、検察官なども含まれます。)。


どうでしょう?
おさらいのようになってきましたが、具体的には4親等内の親族には誰が含まれるでしょうか??


ブログ内容を整理すると、4親等内の親族とは、4親等内の血族及び親等内の姻族を指すことになりますので...



お時間がある時にでも考えてみて下さい。
協力が得られるかどうかは別としても、改めてみると後見の申立権者の範囲もかなり広めですよね。


それでは今回はこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一