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相続

相続人になるべき者は誰か?~推定相続人を把握しておこう~


いつもお読みいただきありがとうございます。



とうとう東京オリンピックの延期が決まってしまいましたね。
諸々、思うところはありますが、状況的には致し方ない決断だったのでしょう。
ただ、いったい来年はどうなっているのでしょうね?
ウィルスもそうですが、経済の問題等々...
少しでも上向きな未来を願うばかりです。



さて、今回は死亡時に誰が相続人になるのかについてのお話しです。
縁起でもないと思われるかもしれませんが、むしろ知っておくべき内容なので、そこはご容赦ください。

尚、以前にも似たような趣旨の記事をご紹介しておりますが、今回はもう少し分かり易く、かつ、踏み込んだ内容をお送りできればと思います。
より知識を深めたいという方は、次の記事も参照してみてください。


「相続って何?/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/blog/post_35/





<目 次>




1.法定相続人を理解しよう

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いったい誰が相続人になるのか?


この問いに対する答えは予め民法に用意されています。
法律(民法)で定められた相続人なのでで、"法定相続人"というわけです。


その内容についてですが...


まず、常に相続人になるのが配偶者です。
夫であり、妻ですね。


実のところ、相続において配偶者は最強です。


なにかにつけて最も優遇されています。
子の権利も強いですが、配偶者ほどではありません。
相続におけるキーマンですね。


とは言え、配偶者のみが相続人になるケースは極めて稀と言えます。
ほぼないと言ってもいいぐらい...


そのためポイントとなるのはー


  • 配偶者以外に誰が相続人になるのか?
  • もしくは、配偶者がいない場合は?
  • 離婚している場合は?

この辺りを理解し、整理することが早道になるわけです。




1-1.配偶者以外の相続人の順位について

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配偶者が常に相続人になるのは記述のとおりです。

では、その他の相続人は誰になるのでしょうか?
端的に言うと、次のような形で定められています。


  • 第一順位:子
  • 第二順位:尊属(父母、祖父母等)
  • 第三順位:兄弟姉妹



子が配偶者に次ぐ権利を持っており、尊属、兄弟姉妹がそれに続きます。

順位的にはおそらく想像どおりなのでは?と思いますが、ここで重要なのは、同時にこれらの対象者が相続人になるわけではない点です。
配偶者がいるケースでは、『配偶者+子』or『配偶者+父母』or『配偶者+兄弟姉妹』のいずれかのパターンとなり(代襲相続が絡むパターンは後記参照ください。)、あくまでその優先順位が定められているわけです。


子と父母が同時に相続人になることも、父母と兄弟姉妹が同時に相続人なることもないので、その点、勘違いしないようにしましょう。


尚、尊属とは、父母だけではなく、祖父母や曾祖父、曾祖母等も指します。
そのため、ケースとしては少ないでしょうが、子がなく父母が既に他界しているが祖父母が健在の場合などは、兄弟姉妹ではなく祖父母が優先されます。
あくまで父母だけではなく、尊属がいない場合にはじめて兄弟姉妹がその相続人となる趣旨です。




1-2.配偶者がいないケースは?

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では、次のような理由で配偶者がいない場合はどう考えるべきなのでしょうかー


  • そもそも婚姻歴がない
  • 既に他界した
  • かつてはいたが離婚してしまった



ただでさえ独身者の多い日本です。
離婚率も年々増加しています。
そのため当てはまる人も多いのではないでしょうか?

ただ、難しく考える必要はありません。



『配偶者がいない』



考慮すべきはその事実だけです。
配偶者は相続上最強ですが、当然、いなければ何の権利も持ちません。


結果、上記の相続人の順位に従って相続権が発生するだけです。
また、その際の考え方も同様です。


子と父母が同時に相続するような事はなく、対象となる相続人が、「配偶者+~」から「子」or「父母」or「兄弟姉妹」に代わるだけです。





2.代襲相続も理解しよう

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ここまでの説明で、ある程度、誰が相続人になるかの選別ができたのではないかと思います。
とは言え、ケースによっては、ここから更にもう何段階か考慮すべき点があるのです。



その要因となるのが、"代襲相続"というやつです。



この辺からぐっと分かり難くなってきますので、めげずに付いて来てください。
極力、シンプルな説明にしますのでー




2-1.代襲相続とは

誰が相続人になるかの基本的な考え方については記述のとおりです。
では、その中に既に死亡している人物がいる場合はどうなるでしょう?


例えば、対象者の推定相続人(本来相続人になる資格がある者)が、配偶者と兄と妹だったとします。
ただし、兄はそれよりも先に死亡しているとー
尚、兄は生前結婚しており、妻と娘がいる状況だとします。



問.この場合の推定相続人は?

A.『配偶者+妹』
B.『配偶者+妹+兄の妻+兄の娘』
C.『配偶者+妹+兄の娘』



どうでしょう?
どれもそれっぽく思えなくもありませんが、正確は『C』です。
兄に代わりその娘がその権利を相続することになるわけです。


それを踏まえて、代襲相続とはー


本来ならば相続人になるはずであった者(上記で言うところの兄)が、相続の開始以前に死亡している場合(等)に、その死亡している者の子が代わって(代襲して)相続することを意味します。


兄の相続権そのものが無くなるわけでも、兄の相続人に全員(兄の妻も含めて)が相続権を得るわけでもありません。
あくまで兄の権利を代襲相続するのは、その子のみなのです。




2-2.代襲相続するのは誰?

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代襲相続は誰にでも起こるわけではありません。
よく考えてみると分かるのですが、代襲相続は対象者の"子"もしくは"兄弟姉妹"が対象者よりも先に死亡した場合に限られます。

配偶者や父母等の尊属には、代襲相続は発生し得ないのです。
それもそのはずで、配偶者や父母の子は、元より相続権のある子や兄弟姉妹ですからー


尚、再代襲もあり得ます。
例えば、代襲相続をした子が死亡し、孫が再代襲するようなケースです。


では、兄弟姉妹はどうでしょう??


兄弟姉妹が死亡し、その子(甥・姪)が再代襲するケースはあります。
対して、代襲相続した甥・姪からの再代襲はあり得ません。


これといった理由の明示はありませんが、民法でそう決まっています。

おそらくは際限なく相続人が増えるのを防止する趣旨なのでしょう。
シンプルに"代襲相続は甥・姪まで"と覚えておくといいでしょう。




2-3.代襲相続は死亡以外の理由でも発生する

"相続欠格事由"というものをご存じでしょうか?
以下、該当する民法の条文です。


民法891条
次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

これについての詳しい説明は、そう遠くない未来に別のブログ記事にてご紹介させていただく予定です。
そのため、ここではあくまでその結論だけ。


仮にこれら相続欠格事由に該当する場合、その者は相続する権利を失ってしまいます。
死亡しているわけでもないのに、相続自体ができなくなってしまうわけです。


ただしー


かつて相続人であったことに違いはないので(欠格事由によりその権利を失っただけ)、その子等が代襲相続する権利を失うことはありません。
死亡時同様、相続欠格時においても代襲相続するわけです。

一見すると不思議な状況ですよね...


尚、相続の廃除時にも同様のことが起こります。

考え方も一緒です。
相続の廃除によりその権利を失っただけで、その子等は代襲相続する権利を失わないとー


では、相続放棄の場合はどうなるのでしょう??


相続放棄の効果は、端的に言うと、"はじめから相続人ではない状態"になります。
欠格事由や相続の廃除とは異なり、相続権を失うわけではないのです。
日本語的にはちょっとあれですが、あくまで最初から相続人ではないことになると...

結果、代襲相続が発生することもありません。
なにせ、代襲できる権利自体が元から無くなっているわけですから。

借金を相続した方が相続放棄を行うのもこのためです。
元より相続人ではない状態になり、自身やその子供等に借金の請求がいかないようにしているわけですね。



3.現在の配偶者以外の者との間で産まれた子について

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最後に子は子でも、前妻(前夫)等との間に産まれた子についての説明を少しー


離婚すると相続権は無くなります。
あくまで配偶者であるからこそ、相続する権利を得ているからです。


では、離婚した配偶者との間に産まれた子の相続権はどうなるのでしょう?


もちろん、なくなることはありません。
離婚によって切れるのは配偶者との関係だけです。
子である事実は不動のものです。

仮に子の親権を相手に取られているような場合でも結論は変わりません。
親権と相続権は全く別物ですから。


そのため、子は両親の離婚後も依然として父母双方の相続権を持つわけです。


もっと言うと、婚姻の事実すら関係ないこともあります。
非嫡出子ですねいわゆる。

離婚どころか婚姻すらしていないわけですが、子であることに違いはありません。
結果、この者にも当然に相続権が生じるわけです。




3-1.家族が把握していない者が相続人なっているケースは珍しくない

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夫は妻を、子は親を、知っているようで知らないものです。
出会う前の、生まれる前の過去については特に。


再婚であることを隠していることもありますし、婚姻していなくても十代の頃に産まれた子をすぐに養子に出しているようなこともあります。
愛人との間に子がいたなんてことは、ほとんどお目にかかったことはありませんが、それ以外のケースで配偶者とは別の者との間に子が存在していたなんてことは珍しくもありません。


ほんとに多いです。
うちに限って大丈夫と思われるかもしれませんが、それは幻想かもしれませんよ?


まあ、自分にとって不都合にしかならない過去なんていちいち言わないでしょうからね。
それも理解できます。
ただ、その事実を墓まで持っていきたいのであれば、必ず"遺言書"を書くようにしましょう。


悪気はなくとも、残されたご家族が相続トラブルに巻き込まれませんからー


また、そうでなくとも、なるべく遺言書は書くように、書いてもらうようにしましょう。
家族と言えどもすべてを知っているわけではありません。


自分が死んだ場合に誰が相続人なるのか?


遺言書を書いてもらっておけば...と言わない相続を目指しましょう。




3.まとめ

今回は推定相続人についての話でした。

興味本位でもいいので、自身の相続人、もしくは親や他の家族の相続人が誰になるのかは把握しておいた方が賢明です。
それにより色々な対策ができますし、遺言を書くにしても、終活を行うにしてもそれに応じた内容に合わせることができます。
結果、後々に後悔することも少なくなるでしょう。

それに、結構、面白いと思いますよ。
自身や家族の家系図を作るのは。

是非、実行に移してみてください。


それでは今回はこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一