取扱業務
借金問題のご相談について任意売却手続
まず前提として、任意売却を実際に行うのはその道のプロである不動産業者です。
司法書士ではありません。
あくまで司法書士がメインで行うのはその後の債務整理手続となります。
ではなぜ司法書士が任意売却の話をするのか?
それは少なくとも任意売却の相談先としては、不動産業者よりも借金問題のスペシャリストである司法書士や弁護士の方が向いていると思っているからです。
あくまで任意売却は借金問題を解決する手段の内の一つです。
決してすべてではありません。
自宅を、マイホームを、手ばなさなくて済む方法があるのであればまずその可能性も検討しましょう。
そして本当にどうしようもない場合に任意売却を選択しましょう。
自己破産や任意売却は安易に行うものではなく、最後の最後に選択すべき手続なのです。
(目次)
1.任意売却とは
テレビや雑誌などで取り上げられる機会も増えているため、以前に比べその注目度は増しているように思えます。
ただしまだまだ世間に浸透しきっているとは言い難く、知らないという方のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。
一般に任意売却とは、住宅ローンが支払えなくなってしまって、やむなく所有不動産(ご自宅)を売却する手続を指します。
一部で『任意売買』と呼ばれていたりもするようですが意味は同じです。
この説明ではよく分かりませんよね?
通常の不動産売買と何が違うのかも含めて。
確かにあまりにも専門的過ぎる気がします。
では少しだけ視点を変えてみましょう。
不動産の競売手続はご存知ですか?
おそらくそれであれば聞いたこともあるでしょうし、なんとなく想像もつくのではないでしょうか。
住宅ローンを支払わなければいずれ強制的に競売手続が進みます。
金融機関も貸したお金の回収をしなければなりませんから。
ただし競売手続というシステム上、不動産の処分価格は通常の売買に比べて安価になりがちです。
結果、金融機関への返済額がその分少なくなってしまい、得をするのは競売の落札者のみという絵面が完成します。
住宅ローンを支払えなくなったのは自分が悪いのだからそれも仕方ない・・・とは言ってられませんよ。
競売によって住宅ローンを完済できればいいのですが、借金として残ってしまう可能性が高いわけですから。
任意売却手続とは、競売手続になりそうな(もしくは競売手続が進んでいる)不動産を金融機関の許可を得て任意に売却する手続なのです。
形式上は通常の不動産売買と変わりありませんので処分価格も適正価格に近いものとなります。
ただし住宅ローンを支払えなくなっている以上、主導権は金融機関側にあります。
不動産の売り出し金額なども金融機関が決めます。
それ以外はほぼ通常の不動産売買と変わりありません。
少なくとも見た目は通常の不動産売買と同様です。
ご近所の方や知人、友人にもばれるようなこともないわけです。
2.任意売却を決断する前に確認しておきたい点
競売手続を待つだけなのであれば任意売却を試みるべきです。
ただし、まだ競売手続が進んでいない(住宅ローンの滞納がない。もしくは少ない。)のであれば慌てずに以下を確認してみましょう。
場合によっては任意売却を行わずに大切なご自宅を守れるかもしれません。
(1)住宅ローンの支払いが苦しい原因は何ですか?
とにもかくにも原因を追及しましょう。
これまで支払えていた住宅ローンの支払いが苦しくなってきたわけですから、そこに何らかの原因があるはずです。
- 収入の減少(転職を含む)
- 離婚
- 借金
以上が住宅ローンの支払い苦に陥ってしまう3大要因です。
仮に収入の減少や離婚が原因であれば早期の状況の改善は難しいかもしれません。
ある意味、問題の根が深いですから。
ただし、だからと言って諦めるのではなく、次に説明する住宅ローンの見直しを検討してみていかがでしょう。
劇的な改善はなくとも、時間を稼ぐだけで解決する問題もあります。
それとは異なり借金が原因であるならば、住宅ローン自体の支払いというよりも他の借金の支払いが苦しいようであるならば、まだまだ打つ手は十分に残されています。
住宅ローン以外の借金を片付ければ済む問題なのですから。
まずは個人再生(小規模個人再生、給与所得者等再生)を検討してみましょう。
ご自宅を守りつつ、借金の大幅な減額が可能になるかもしれません。
また仮にそれが難しかったとしても、他の可能性を一緒に考えましょう。
不動産業者に任意売却を依頼するのは最後の最後でいいのです。
(2)住宅ローンの見直しを行いましたか?
ポイントは住宅ローンを滞納してしまう前です。
住宅ローンを滞納してしまってからでは選択肢が少なくなってしまいます。
支払うのがきついなという感覚があるのであれば、住宅ローンを滞納してしまう前に見直しを行いましょう。
金融機関や収入状況等によっても異なってきますが、住宅ローンの見直しを行うことによって、一時的に返済額の減額や、返済期間の延長、元本部分の返済の一時的な凍結等が可能になることがあります。
例えば任意売却が続出している旧住宅金融公庫の融資やフラット35の場合などでは、住宅ローンの返済が苦しくなってきた人のために救済措置を用意しています。
収入の減少等、一定条件を満たした場合は、返済額の減額や、返済期間の延長などが受けられるようになっているわけです。
まずは急場を凌ぎつつ、収入や生活状況の改善につとめましょう。
とは言え、これだけでは抜本的な解決策にはなり得ません。
あくまで一時的な救済処置ですから。
収入の減少等が原因であればなかなか難しいかもしれませんが、他の金融機関で住宅ローンの借り換えを検討するのも手です。
最近の住宅ローンは超低金利ですので見直す余地はないかもしれませんが、10年以上前の住宅ローンであれば話は別です。場合によっては劇的に改善することもあります。
(3)親族の援助は受けられませんか?
必ずそうしなければならないわけではないですが、他の借金問題よりは打ち明けやすいはずです。
実際に何度かこれで解決してきた事例をみてきました。
また任意売却を行った上でご親族の方が購入され、引き続き賃貸そこに住み続けるようなケースもありました。
親族間のリースバックというやつです。
可能であれば任意売却を実行する前に相談してみるのもいいかもしれません。
3.任意売却鉄続きの流れ
司法書士九九法務事務所に任意売却のご相談をいただいた際の手続の流れについてご説明致します。
- 当事務所に来所いただき面談
ご依頼者様とは司法書士が必ず一度は面談させていただきます。
あくまで当事務所では直の面談にこだわらせていただいております。
メールや電話だけではどうしても伝わりにくい部分があるからです。
次のアポイントでもない限り面談に時間制限があるわけではないため、ご質問、ご不明点等あればなんでもお申し付け下さい。 - 原因の追究
住宅ローンの支払いに頓挫しそうな原因を追究します。
そしてそれが個人再生等で解決できるものなのか、任意売却後に自己破産等を取るべきなのか?または他の選択肢があるのか?納得いくまでとことんお付き合い致します。 - 住宅ローン先(借金先)へ受任通知の発送
業務を受任しましたらば直ちに住宅ローン(借金先)に対して『受任通知』という書面を発送します。
これは司法書士が手続に介入するため債務者(お金を借りた人)に対し直接借金の取立行為をしないよう通知する書面でもあります。
結果、これ以降借金先へは何ら返済を行うことはありません。 - 任意売却の実施
あくまで原因を追究した結果、解決が難しかった場合の話です。
どうしようもない場合は当然ありますのでその覚悟はしておいて下さい。
尚、ご希望される方には任意売却手続に慣れた不動産業者をご紹介することも可能です。
よく分からない不動産業者よりは安心なはずです。 - 引っ越し費用等の積立
平均して任意売却手続終了までは半年前後かかります。
その間、住宅ローンの支払いはストップさせてますので、これを機に生活を立て直してもらいます。
ある意味、これができるだけでも任意売却を行う意義は多いはずです。 - 任意売却手続の終了
- 借金問題の解決業務へ
ここからがある意味我々の本業となります。
ただし、早い段階でゴールを見据えて逆算して動く方が効率は良いものです。
相談は無料です。
任意売却をご検討される段階で是非一度司法書士にご相談してみて下さい。
4.費用・報酬
任意売却手続において司法書士に何らかの費用が発生することはありません。
実際に発生するのはその後の債務整理手続を受任した場合のみです。
また、任意売却を行った際の不動産業者への仲介手数料の支払いにつきましては、不動産の売却代金の中から補填する形になりますので、手出し分を用意する必要はありません。
任意売却手続自体は費用がかからないのが原則なのです。
仮にそれと異なる場合にはご注意を。