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取扱業務

会社(法人)の登記手続について

役員(取締役・監査役)変更登記 ~株式会社編~

1.役員には任期というものがある

取締役、代表取締役、監査役、会計参与、これらを『役員』と言います。


彼らには会社の一般的な社員とは異なりに役員の"任期"というものが存在します。
ちなみにこれまでの株式会社の役員の任期は、取締役が2年、監査役は4年であるのが原則でした。


けれども法改正に伴い、一部の会社を除き取締役及び監査役の任期を最長10年まで伸長することができるようになったのです。



結果、新規設立株式会社の役員の任期は10年に設定されることがほとんどに―



では、会社設立後10年が経過した場合(任期が満了した場合)、当該役員はどうなってしまうのでしょうか?


  • 自動的に再任される?
  • もしくは自動的に退任となる?
  • 特に何もする必要はない?



そのいずれでもありません。
少なくとも誰かが何かをしてくれるわけではないのです。


あくまで自身で行動する必要があります。
仮に何もしなければ(その旨の登記申請をしなければ)、国からの過料制裁の対象になってしまうことも...



1-1.登記懈怠と過料制裁

国からの具体的な過料制裁については以下のとおりです。


  • 役員を選任してたけれど、その旨の変更登記をしなかった ⇒ 登記懈怠(とうきけたい)
  • 役員自体を選任すらしていない             ⇒ 選任懈怠(せんにんけたい)



いずれも罰金の対象です。
おそらくほとんどが登記懈怠に当たるのではないでしょうか?

とは言え、どちらかの罰則の方が高いというわけではありません。
どちらも、"会社法違反事件"として扱われます。


また、その表現的な部分で気が付いた方がいるかもしれませんが、過料の額は法務局ではなく裁判所が決定します。


気になるその金額ですが―


  • 100万円以内でこれを定める



と、しか定められていません。
とは言え、なんと最大で100万円もの過料に処せられる可能性があるわけです。



恐ろしい話です―



ただし、少なくとも僕自身、実際に100万円もの過料に処せられた話など見たこともなければ聞いたこともありません。


概ね、数万~10万円程度の過料であることがほとんどです。


だからと言って安心だけするのではなく、いち早い問題解決に着手ください。
懈怠期間が長いと、その分、罰金も多くなってしまうかもしれませんから―
※罰金ですので会社の経費計上はできません。少額だったとしても痛いですよ結構。




1-2.役員の任期を確認するにはどうすればいい?

まずは役員には任期あるということを再確認することが重要です。
そして、次にやるべきは現状の役員残存任期の確認でしょう。



残り何年で任期が満了となってしまうのか―



ちゃんと把握できていますか??
それについて、はじめに確認すべきは会社の登記簿(登記事項証明書)です。

"役員に関する事項"という部分を見てみてください。
右側に就任日等が記載されているはずです。


例えば、それが平成20年6月就任(重任)になっていたとしましょうー


これを書いている本日現在は令和元年(平成31年)です。
そう、仮に役員の任期が10年であったとしても、1年以上の選任懈怠が発生してしまっているわけです...


また、会社によっては役員に関する事項の右側に就任日等が記載されていない役員もいることでしょう。
それは会社設立時に就任した役員だからです。

そのような場合は、会社の登記簿(登記事項証明書)の上部にある、"会社成立の年月日"を確認してみてください。
それが対象となる役員の就任年月日となります。



役員の任期が何年だったのか分からないー



あるいはそういうケースもあるかもしれません。
役員の任期はなぜか登記事項ではないため、会社の登記簿(登記事項証明書)上では確認できませんからー


では、どうやって確認するのか??


第一は会社の"定款"です。
ただし、会社設立後に役員の任期を変更しているケースもあるので、そのような場合は対象となる株主総会議録にて確認することとなります。


さて、皆さんの会社は大丈夫ですか??


2.任期が満了した役員に対する手続

シンプルにとるべき手段は次のとおりです。

(1)再任(重任)
(2)退任(任期満了)

役員を続けるか、辞めるかの二択です。

(2)の退任の場合に役員変更が必要なことはなんとなく分かるでしょう。
役員そのものに変更(辞める)がありますから。
ex:取締役A任期満了により退任、取締役B新任


ただ役員そのものに変更はなくとも(続ける)、(1)のケースも役員変更の対象となります。

任期満了後に役員を継続する場合にも、その旨の登記が必要となるのです。
役員自体に変更はないから役員変更がいらないわけでは決してありません。


具体的には、役員の重任登記を行うこととなります。


いわゆる、株式会社が存続する限り少なくとも10年に一度は役員変更が必要になってくるというわけです。



尚、上記はあくまで株式会社について説明です。

ちなみに合同会社や有限会社(特例有限会社)には元より『任期』という概念自体が存在しません。
そのため合同会社に任期満了はありえないのです。
尚、合同会社に役員変更が生じるとすれば次項のような場合に限定されます。

対して一般社団法人の理事には株式会社の役員同様任期があります。
しかも2年と短いです(10年にはなりません。)。

考え方は株式会社と同様ですので、少なくとも2年ごとに役員変更を行う必要があるというわけなんです。




3.任期以外に役員変更登記が必要となるパターン例

  • 辞任:役員自らが辞意を表明した場合
  • 解任:会社が役員を辞めさせた場合
  • 死亡:役員が死亡してしまった場合
  • 住所・氏名の変更:住所変更や結婚・離婚等によって役員の登記事項に変更が生じた場合


いずれも登記の事由(辞任であれば辞任日)が発生したときから2週間以内(支店所在地においては3週間以内)に変更登記を行う必要があります。
多少その期間を経過しても問題ないですが、例えば半年以上経過してしまうと罰金(登記懈怠、選任懈怠等)の対象になることがありますのでご注意下さい。



4.費用・報酬

こちらを参照下さい。