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会社・法人登記

会社設立時の登録免許税を半額にする方法とは


いつもお読みいただきありがとうございます。



年末に入りブログの更新頻度が落ちてきてしまいました。
この時期はいつもそうなので、ある程度は予想できていたのですが、特に今年はバタバタしているような...
ここからは忘年会も幾つか入ってくるので、ある意味、正念場はこれからのようです。
ただ、飲食店経営者に聞くと、年々忘年会は減少傾向にあるそう―
言われてみれば、じゃっかんタクシーがつかまりやすくなっているような気もします。
これも時代の移り変わりなのでしょうか??



さて、そろろ本題へ。
なんとも胡散臭く思えるテーマかもしれませんが、事実、会社設立時の登録免許税を半額にできる方法が存在します。
しかも、まだまだ世間に浸透しているとは言い難い状況ですので、知らなければ使えませんし、誰かが教えてくれるとも限りません。

はたして、それはどのような制度なのでしょうか―




<目 次>



1.特定創業支援事業とは?

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もちろん、ただ単純に会社設立時の登録免許税が半額になったりはしません。
元となる制度が存在し、それをうまく活用することによってはじめて可能となるものなのです。


ちょっと難しい話になりそうなので、めげずに付いて来て下さいね。



その制度とは―


"特定創業支援事業"と呼ばれるものです。


知っているという方も、耳にしたことがあるという方も、全く知らないという方もいるでしょう。
ちなみに僕自身、制度自体は知っていましたが、ぼんやりし過ぎていてあまり魅力を感じなかったというのが当初の正直な感想です。


だいたいそれが3~4年ぐらい前の話だったでしょうかー


それが、とある機会があって、改めて調べてみたところ...
当初よりかなり具体的になっており、非常に有用な制度に思えたのです。



どういうものなのかと言うと、特定創業支援事業は一般に次のような表現をされていることが多いです。


産業競争力強化法に基づいて認定された市区町村の創業支援等事業計画における創業支援等事業のうち、経営、財務、人材育成、販路開拓に関する知識の全ての習得が見込まれる継続的な支援を創業者等に対して行う事業

自分で紹介しておいて言うのもあれですが、なぜわざわざこんなにも分かりにくい表現にする必要があったのでしょうか?
これでは入り口から躓きかねません...


そこで特定創業支援事業を可能な限り簡単に表現することにしましょう。
実は、言い回しと制度の中身が多少複雑なだけで、その目的は至ったてシンプルなものです。


一言で表現するなら、"各自治体の、しいては国力UPのため、これから新規で立ち上げる中小企業を応援します!"という取り組みなだけですからー





2.特定創業支援事業の優遇処置の中身は?

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さて、では特定創業支援事業の中身についての話に入りましょう。

ただ、細かい部分の話になると内容が複雑になり過ぎるだけですので、端的に当該制度のメリット・デメリットについて検証を行うこととします。

と言うか、それらが分かっていれば、特に他はそれほど理解していなくてもいいかもしれません。
僕自身、完璧とは言い難いですし...




2-1.登録免許税が半額に

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最も分かり易いメリットはこれです。
そして、今回のブログのメインテーマでもあります。


具体的には、法務局への設立登記申請時に、"特定創業支援事業による支援を受けた証明書"の原本を添付することによって会社設立時の登録免許税が半額になるという制度です。


尚、株式会社を設立する際に必要となる登録免許税は15万円ですので、これが7.5万円で済んでしまうわけです。



ー7.5万円は、結構なお値引きだと思いませんか??



ちなみに合同会社の場合だと、元々の登録免許税が安いため(6万円⇒3万円、多少お得感が薄れてしまう面もありますが、それでも十分に有用と言えるでしょう。




登録免許税というものは、言わば実費です。
司法書士等に手続を依頼せず、自力で設立登記を申請するような場合でも、必ず発生するものです。


それが半額になるわけですから、同制度のメリットは言わずもがなといったところでしょう―


尚、中小企業に向けた制度であるため、あくまで対象は株式会社や合同会社、もしくは合名会社、合資会社に限られ、社団法人等、その他の法人体系には適用がありません。

まあ、趣旨からすればそうですよね。




2-2.その他のメリット

特定創業支援事業を受けるメリットは、登録免許税の軽減だけに限られるものではありません。
その他、会社の資金調達面においても大きなメリットが生じることがあるのです。


ちなみに、司法書士九九法務事務所のある川口市では、次のような特定創業支援事業のメリットの紹介がされています。

  • 日本政策金融公庫新創業融資制度の自己資金要件の充足


この辺は本業ではないので、これについての詳しい説明は割愛させていただきますが、いわゆる
「新創業融資制度」の自己資金要件充足のことです。
その他、「新規開業資金」の貸付利率引き下げや、創業関連保証の特例についても優遇処置なども存在します。



ようするに登録免許税の軽減だけではなく、開業資金の調達時にも諸々のメリットが生じるため、元々日本政策金融公庫等よりお金を借入れる予定のある方は、特にお得な制度になり得るわけです。


登録免許税も軽減されるばかりか、事業資金を借りやすくなるし、利息も少なくて済むと...

是非、ご活用ください。





2-3.すべての自治体が対象ではない点に注意

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ここからは、デメリットと言うよりかは、同制度を利用するにあたっての注意事項等についてご説明します。



特定創業支援事業は、あくまで産業競争力強化法の認定を受けた自治体ごとの取り組みです。
そのため、すべての自治体が対象になっているわけではありません。


いわゆる、仮に新規設立会社の所在地である自治体が特定創業支援事業を行っていないのであれば、当然、この制度を利用することはできません。
あくまで、川口市に設立予定の会社は川口市で、戸田市で設立予定であれば戸田市で諸々の手続を行う必要があるわけです


まずは事前に対象となる自治体が産業競争力強化法の認定を受けているかどうかを確認しておきましょう。


ちなみに川口市や戸田市はその対象になっています。
その旨の専用サイトも存在します。




川口市のサイトが駄目なわけではありませんが、特に戸田市は優秀ですね。
力の入れようが伝わってきます。


近隣の蕨市も産業競争力強化法の認定を受けているはずなんですが、あくまで僕が探した限りでは専用サイトなどは存在していないようでした。

とは言え、制度自体は存在しているようですので、利用することは可能なようです。
これについては詳細が分かり次第、追ってご報告させていただくことにします。




2-4.急ぎの設立には不向き

この仕事をしていると、会社の設立を急いでいる方によく出会います。
と言うか、依頼者のほとんどと言っていいぐらいに多いです。


残念ながら、そのような方にはあまり向いていない制度です...



なぜなら、"特定創業支援事業による支援を受けた証明書"を受け取るまでに相応の時間と手間を要してしまうからです。



自治体によっては多少異なる点もあるかとは思いますが、基本、当該証明書を取得するには、1ヶ月以上、かつ4回以上利用し、「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」の4分野の知識を習得することが要件になっています。

その旨のセミナーを受講したり、創業相談を行ったりする必要があるわけです。



まあ、当然と言えば当然でしょうね。
誰でも、どの会社でも無条件に優遇するというのはちょっと違う気がしますし...
この辺は仕方がない部分です。



ただし、既述のとおり、それに値するだけの恩恵は十分にあると思います。
そのため、同制度を受ける予定があるのであれば、少なくとも会社設立予定日の2カ月ぐらい前から実際の行動に移すようご注意ください。




3.まとめ

今回は特定創業支援事業についてのお話しでした。
うまくその魅力を伝えられた自信はそれ程ありませんが、興味のある方は対象の自治体に直接お問合せいただければと...

取得要件が創業者のセミナーメインであるため、手伝いたくとも手伝うところがないんですよね実は。

ただ、その存在をお知らせしておきたかっただけです。
登録免許税半額は本当にお得ですからー


ちなみに余談ですが、僕が同制度を利用して実際に登記申請を行った際に一番迷っていたのが、登録免許税の適用条文です。
まあ、そんな重要な部分ではないのですけどね。


一応、"租税特別措置法第80条第2項第1号"で申請して無事登記が完了していますので、それでいいのかな??
いまだに謎です。


それでは今回はこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一