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相続新しい相続手続『法定相続証明制度』について
極端に新しいというわけではないですが、平成29年5月から『法定相続証明制度』なるものが開始されています。
導入当初はニュースやインターネットなどでもそれなり取り上げられてはいたので、もしかしたら既に利用したと言うような方もいらっしゃるかもしれません。
どのような制度なのか?
まずは法務省のHPを見てみましょう。
ここに書いてあることでほぼすべてなのですが、なにぶん分かりにくい点もあるかもしれません。
そこでもっと簡単に『法定相続証明制度』表現してみますと・・・
何かとかさばる戸籍謄本の代わりに証明書を1枚提出するだけで相続手続ができるわりと便利な制度。
言葉のセンスはさておき、それなりに要を得ているのではないでしょうか?
相続によって不動産の名義変更をするにしても、銀行で預金口座解凍手続をするにしても、公正証書遺言でもない限り、いちいち戸籍謄本一式(出生~死亡)が必要となってきます。
個人差はありますがこれが結構かさばるのです。
尚、戸籍謄本一式が相続手続に必要な理由は、誰が誰の相続人であるかを証明するためです。
『法定相続証明制度』は、それをシンプルに紙一枚で証明してくれます。
諸々の手続時に戸籍謄本一式を持ち歩く必要はありません。
本当に便利な制度なのか?
便利ですよね。これだけ聞くと。
ただし勘違いしてはいけません。
何も戸籍謄本一式を取得しなくていいわけではないのです。
あくまで必要となる戸籍謄本一式を取得した上で、所定の申請書等とあわせて法務局に提出し、それ以降は『法定相続証明制度』を用いて相続手続ができるいう代物なのです。
必要書類の収集という面においては何ら省略できていないわけです。
むしろ一手間増えてすらいます。
私自身、できた当初は「なんだこれ・・・」と思っていました。
誰が使うのかな?と・・・
既存の方法に慣れ過ぎていたため、その時点ではメリットを感じえなかったわけです。
とは言え、それは自分自身が『法定相続証明制度』を利用する前提であったからです。
正直、私自身には必要のない制度です。
ただし、顧客やその家族、窓口となる銀行員や証券会社の担当者にとってみれば、これがあるだけで随分楽になります。
例えば以下の書類を窓口に持っていかなくてもいいわけですから(重複しますが、どちらにせよ取得する必要はあります。)。
あれこれ考える必要もありません。
<相続人が配偶者と子供の場合>
- 被相続人の出生から死亡までの戸(除)籍謄本
- 各相続人の現在の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票
<相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合>
- 被相続人の出生から死亡までの戸(除)籍謄本
- 被相続人の直系尊属の出生から死亡までの戸(除)籍謄本
- 各相続人の現在の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票
また相続手続を急いでいるような場合にも便利です。
基本的に戸籍謄本一式は相続手続においてすべて使い回しが効きます。
何も銀行毎、法務局毎に上記のような戸籍セットを揃えなければならないわけではありません。
ただし複数の機関で相続手続きを行う場合、戸籍謄本一式を提出して返却を待ち、返却されたら別の機関へ提出して返却を待つといった形でひと通りの手続きが終わるまでに数カ月もの時間を要することもありました。
その点、『法定相続証明制度』では、戸籍謄本一式の代わりに使用できる『法定相続情報一覧図の写し』を無料で必要な通数を取得できるため、複数機関での相続手続の同時進行が可能となったというわけです。
案件によっては一ヶ月以上の期間短縮が可能となります。
結論からすると
以上のようなことから、今後は司法書士九九法務事務所でも、同手続を積極的に利用してみようと思っています。
また例えば当事務所に相続による不動産の名義変更のみを(もちろん、銀行等の手続のみの依頼であっても承らせていただきます。)ご依頼いただくようなお客様に対しては、無料で当該証明書をお取り致します。
是非、便利さを実感して下さい。
※当事務所で『法定相続証明制度』における『法定相続情報一覧図の写し』の取得を希望されるお客様は、銀行等での手続の前にお声がけ下さい(手続後ですとただの思い出の品にしかなりませんので。)。面倒な戸籍収集とあわせ当該書面を取得させていただきますので。
以下、法務省HPより。