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相続相続がおきたらまずやるべきこと
葬儀や火葬の手配、病院や施設等への支払い、保険会社への連絡ー
大変ですよね。
人が亡くなるということは本当に。
僕自身、後見業務を行うようになってからはより一層そう思うようになってきました。
ただ、それら大変な手続を無事終えたとしても、やるべきことはまだまだ残されているのです...
そればかりか、中には期限があるものすら...
遺族の悲しみなんてお構いなしか!
と、言ってやりたいぐらいですが、それで何が変わるわけでもありません。
そこで、ここではせめてそれらを分かり易くご紹介できればな...と思っています。
<目 次>
- 1.相続が発生した後に行うべき手続
1-1.死亡届出の提出
1-2.遺言書の有無の確認
1-3.相続人の調査(戸籍関係の取得)
1-4.相続財産の調査
1-5.準確定申告とそれに伴う納税
1-6.遺産分割協議
1-7.相続税申告・納付 - 2.まとめ
1.相続が発生した後に行うべき手続
最低限、どういった手続が必要になってくるのでしょう?
かつ、それらはいつまでに行う必要があるのでしょうか??
諸々、検証していきましょうー
1-1.死亡届出の提出
まずはこれでしょう。
火葬(または埋葬)許可証を受け取るため、期限内に死亡届出を役所に提出する必要があります。
死亡届を提出しなければ火葬することができないわけです。
その期限は死後7日以内です。
意外と短めですよね...
尚、外国で死亡してしまった場合など、特殊なケースにおいては、死亡の事実を知った日から3ヵ月以内であれば受理されることになっています。
とは言え、正当な理由なくこの届出が遅れた場合は過料もあるようですので、その点、ご注意ください。
ちなみに死亡届出の提出者は基本誰でもかまいません。
そのためご家族ではなく、葬儀社が代行してくれるパターンが多いと言えるでしょう。
ただし、死亡届出の届出人になれる方は決まっています。
提出者とは異なり、誰でもいいわけではないのです。
以下、届出人の条件となります。
- 親族
- 親族以外の同居者
- 家主、地主、家屋管理人、土地管理人
- 後見人、保佐人、補助人、任意後見人
- 公設所の長
この人達のいずれか、もしくはその代理人が死亡届出を管轄となる役所に提出することになります。
では、何を基準に管轄が決まるのか?
そんなに難しくはありません。
次のいずれかを管轄する役所に死亡届出を提出すればいいだけです。
- 死亡者の本籍地
- 死亡地
- 届出人の現住所地
割と幅広いのです。
提出期限がありますから、その配慮なのでしょう。
その他の注意点としましては、原紙は役所に提出しますので必ずコピーをとっておくと言ったところでしょうか―
後々、保険会社への請求等、死亡届出は色々と使う機会が多いのでコピーをとってないとかなり不便になってしまいます(多めにコピーしておきましょう。)。
だいたい役所の窓口の方が助言してくれとは思いますが、一応、自身でも認識しておくべきです。
1-2.遺言書の有無の確認
相続手続のスタートはとにもかくにも遺言書の有無の確認です。
後になって手続をやり直すことにならぬよう、しっかり確認するようにしましょう。
尚、公正証書遺言の場合は、公証役場にその原本が保管されていますので、心当たりがあるのに遺言書が見当たらないような場合には、その有無の問い合わせを行ってみるのも手です。
平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、「遺言検索システム」なるものによって公証人がその有無を検索することが可能にっていますので―
しかもこれ全国対応です。
お近くの公証役場に次の書類等を持参するだけですので、是非ご活用してみて下さい。
- 戸籍謄本(相続人であることを証明する書面として)
- 本人確認書類(運転免許証などの顔写真入りの公的機関が発行したもの)
また、自筆証書遺書が存在していた場合には、家庭裁判所で遺言書の検認手続が必要となります。
※公正証書遺言の場合は遺言書の検認手続は不要です。
いずれも期限はありませんが、後のトラブルになりかねませんので、早めの手続を強くお勧めします。
1-3.相続人の調査(戸籍関係の取得)
具体的には、亡くなられた方の出生~死亡までの連続した戸籍謄本等を入手し確認することになります。
尚、兄弟相続の場合は、これに加えて亡くなられた方の両親の出生~死亡までの連続した戸籍謄本等も入手する必要があります。
法務局、銀行、年金事務所―
戸籍謄本等を提出しなければならないパターンは多いです。
取得が面倒であれば、是非、この時点で司法書士にご相談ください。
1-4.相続財産の調査
亡くなられた方の遺産を調査しましょう。
不動産、金融資産(預貯金、有価証券など)、生命保険金等のプラスの財産だけではなく、借金や滞納税金、未払いの公共料金等のマイナスの財産も相続の対象となる点に注意が必要です。
負債が多い場合などは、相続放棄や限定承認を検討する必要があるかもしれません。
いずれの手続も、原則として相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
そのため、いち早く相続財産を把握しておく必要があるというわけです。
『相続財産がよく分からない』、『借金がありそうだ』といったような場合は、特に早めのご相談をお勧めします。
1-5.準確定申告とそれに伴う納税
亡くなられた方に、生前、確定申告をする義務があった場合、相続人により申告と納税(準確定申告)行う必要があります。
これを"準確定申告"と呼ぶのですが、これには期限が定められています。
具体的には、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に税務申告を行う必要がありますので、ご注意を。
1-6.遺産分割協議
相続人全員で、誰が何を相続するかを決める協議です。
話し合いがまとまれば「遺産分割協議書」を作成し、各種遺産の名義変更や解約の手続を順次行う流れとなります。
相続税の申告等を行わない限り、これに対する期限は定められていませんが、なるべく早めに行っておくことをお勧めします。
1-7.相続税申告・納付
これは有名ですので、知っている方がほとんどかと思います。
相続税を納める必要がある場合(もしくはそうなる可能性が高い場合)は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内にその旨の申告を行わなければなりません。
また、仮に相続税がかからない場合でも、"配偶者の税額軽減"や"小規模宅地等の特例"などの特例を受ける場合にも、相続税の申告自体は必要ですのでご注意を。
2.まとめ
既述のとおり、相続の手続には期限があるものと、そうでないものが存在します。
ただし、だからと言って、期限がない手続を放置していいというわけではありません。
不動産の名義変更や預貯金の解凍手続等、ゆっくりし過ぎて数年が経過してしまったケースは珍しくありません。
その結果、特に何もなければいいのですが、相続人の1人が認知症になってしまったり、死亡してしまったりすると、それだけでかなり面倒な手続になりかねません。
期限があるものも、ないものも、極力、早めの手続を心掛けるようして下さい。
それでは今回はこの辺で。