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相続

相続登記は必要なのか? ~検討する時期やその理由~

さて、今回は不動産の相続登記のお話です。

内容そのものというよりかは、検討すべき時期や注意点等を中心にお送りさせていただきます。
今後の参考にでもしてください。

法律上の期限はありません

『相続登記はいつまでに行えばいいのですか?期限はありますか?』

このような質問を受けることがあります。

私は『特別な事情がない限り、49日が終了した頃にご検討されてはいかがでしょうか?』と返答することが多いです。


ちなみに相続登記自体に期限はありません。
意外に思われるかもしれませんが一切ないのです―



10年後に行おうとも、20年後に行おうとも、何の罰則すらありません。
現に私自身そういう案件を数多く取り扱ってきました。

総じて大変ではありましたが―



『そんなに長い間手続を放置して、その間の固定資産税の支払いはどうするのか?』

そう思う方もいるでしょう。

その点、市区町村はしっかりしています。
本来、固定資産税を支払うのは不動産の所有者(または共有者)ですが、相続が発生した場合はその相続人に請求がいきます。

具体的には、相続登記が完了するまでは相続人全員が納税義務者となるため、固定資産税の納税通知書の名義は相続人の連名になる取り扱いがされるのです。

尚、ほとんどの市区町村はこの際に、代表相続人の届出を要求してきます。

とは言え、これはあくまで代表相続人に対し、毎年、固定資産税の支払い用紙を送付するためであり(相続人個別には送付されないのです。)、実際の固定資産税の支払い義務は相続人全員に生じます。

結果、相続登記が終わっていなくても、固定資産税の支払いを行える体制だけは整うわけです。



尚、これはあくまで相続登記の話です。

相続放棄や相続税の申告等、相続手続の中には期限が定められているものもあります。
それらと混同しないようにご注意ください。
(次のページで期限がある相続手続を確認できます。)

「相続がおきたらまずやるべきこと/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/blog/post_16/

これらについてはしっかり期限を守りましょう―



さて、ではいったん話を戻しましょう。

不動産の相続登記に期限は一切ありません。
いつ行ってもいいですし、行わないことによって過料に処せられるようなこともありません。
あくまで相続人の自由なのです。

ではなぜあえて49日が終了した頃を勧めるのか?


感情面の配慮

経験上、あまりに早過ぎるのはお勧めしません。

面倒な手続ですから、さっさと終わらさせたいという気持ちは分かります。
ただし、あまりにも早く相続手続を行っていると、他の相続人の方が快く思わない場合があります。

本質的には理解できませんが、中にはそんなにお金が欲しいのか―、なんとも薄情な子供だ―
等々、思われる方がいるようです。


私的には『気持ち』と『手続』は全くの別物だと思っていますが、故人を偲ぶ期間を空けておいた方が無難というわけです。



放置問題

いつでもいいと言われると、いてまで経ってもやらない人が出てきます。

上記とは逆のパターンです。
実際、面倒ですからね。
先送りしてしまう気持ちも分からなくはありません。

ですので、あえて期限を提唱しているわけです。
49日以降、なるべく早めに手続に着手していただけるよう―


私的には相続登記手続を行わないことに対する過料があってもいいのでは?
と、思うことがあります。

他意はありませんが、相続登記を行わないまま放置し過ぎていると、過料よりも厳しい結果に陥ることが間々あるからです。


続いて手続を放置したことによって起き得る問題について少し話をさせていただきます。


数次相続の発生問題

『数次相続』と呼ばれる状態があります。

これは相続が開始したが、遺産分割協議や相続登記を行わないでいるうちに、今度はその相続人が亡くなってしまった状態を言います。

ようするに、二つないしはそれ以上の相続が連続して発生しているわけです。



これ、結構面倒です。

単純な話、相続人の人数が増えることがほとんどですから―

父が死亡し、その相続人が子二人(兄、弟)だったとしましょう。
相続登記を放置した結果、兄がさらに死亡したとすると―

本来、兄と行うはずの相続手続を、兄の相続人と行わなければならないわけです。
死者に手続はできませんから。


また数次相続は何も一度とは限りません。
上記の例で弟が更に死亡したとすると、今度はその相続人に権利が移ります。

ここに制限はありません。

相続人がいる限り、何度でも数次相続は発生し、いくらでも相続人は増え続けていきます。

結果、通常よりも多くの時間と費用と労力が必要になってしまうわけです。

相続人が増えることで、本来ついていたはずの話が暗礁に乗り上げてしまうこともあるでしょう。
本当に相続は揉めやすいです。


元々揉めやすいのに関わらず、話し合いの人数増やしてどうする?
と、いう話です。


正直、それなら放置による過料を処せられた方が随分ましだな―
と、いうのが私の感想です。


認知症、行方不明者等の発生問題

相続登記を放置した場合に起こるトラブルは何も数次相続だけには限られるものではありません。


時間が経つということは、色々なものが変わるということです。


死亡しなくとも、相続人の誰かが認知症になってしまうかもしれませんし、行方自体が分からなくなってしまうかもしれません。

適正な遺言書でもない限り、相続手続には相続人全員の関与が必要です。
また、相続手続と言えども立派な契約行為ですので、それを行うには意思能力が欠かせません。


認知症で意思能力がなくなっていたら?
相続人の一人が行方不明なら?


相続手続はより複雑なものになってしまうのです―


具体的には後見制度の利用や不在者の財産管理人の選任手続が必要となってくるわけです。



「成年後見制度等申立業務のご案内/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/service/guardian/post_51/

「不在者の財産管理人の選任手続/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/service/succession/post_28/



無駄な費用と手間の大発生とはこのことでしょう。

まとめ

特段の事情でもない限り、なるべく相続登記は49日後直ちに取り掛かることをお勧めいたします。

何をやればいいのか分からないこともあるでしょう。
ともあれ、落ち着いたらまずはご相談ください。

誰に相談していいか分からないような案件でも気軽にご相談ください。

仮に司法書士では対処できない問題であっても、当事務所は税理士や弁護士等、他業種のご紹介も無料で致しております。


いつかは行わなければならない相続登記、放置するのだけはやめましょう。