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成年後見制度

実際のところ誰が後見人になるのか?

さて、今回は成年後見業務のお話です。

押しも押されぬ高齢化社会。
成年後見業務など対岸の火事とは言ってられませんよ。

そこで実務的な観点から、実際の後見人は誰がどのように選ばれるのか?にフォーカスしてみたいと思います。


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誰が後見人になるのか?

『身の回りの世話を行っている親族が後見人なれますか?』

よく受ける質問の一つです。

特殊な事例でもない限りまずなれます。
例えば後見人候補者が本人に対し何らかの訴訟を起こしていたり、破産手続中であったりするようだとさすがに厳しいと思われますが―

そうした特殊な事情以外で親族が後見人の就任を希望しているに関わらず、何ら手続に関与できないことは極めて稀でしょう。

ただし、必ずしも親族が単独で後見人になれるわけではありませんので、その点、注意が必要となってきます。

後見人には色々なパターンがあります

後見人は何も一人だけとは限りません。

親族のみの場合もあれば、我々司法書士や弁護士等の専門職が手続に絡むこともあります。
尚、我々専門職が行う後見人のことを『専門職後見人』と、親族が行う後見人のことを『親族後見人』と言います。

まぁ、なんというかそのまんまの呼称ですね。


昨今、この『専門職後見人』の関与が増え続けています。
そしておそらく今後もそれは変わらないでしょう。

ではどのような関与をし、いったい誰が後見人になるのか?

想定される代表的な後見人のパターン例は以下のとおりです。

  1. 『親族後見人』のみのパターン
    親族が単独で後見人になる形です。
    専門職後見人は何ら絡みません。
    本人の配偶者や子供等、実際に身の回りの世話を行っている親族が後見人になるケースが多いと言えるでしょう。

    これといって本人にトラブルがなく、かつ、管理財産(本人の財産)が少ない場合に用いられるケースです。


  2. 『専門職後見人』のみのパターン
    親族が後見人にはならず、弁護士、司法書士、社会福祉士等の法的な知識や経験を持った専門家が後見人になる形です。

    この場合、基本的に親族は本人の財産管理をすることができなくなりますが、代わりにそれらを専門職後見人が行うこととなります。

    尚、本人の日曜用品等を購入費用等につきましては、通常、専門職後見人が小口現金を親族に渡して管理することが多いので、それほど大きな不自由を感じることはないと思われます。

    また、親族はいつでも専門職後見人から財産状況等の報告を受けることはできます。


    親族等が後見人になることを希望しない、もしくはできない場合に用いられるケースです。


  3. 『親族後見人+専門職後見人』のパターン
    親族に加え、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門家が後見人になる形です。
    いわゆる複数体制です。

    このパターン、増えています。

    必ずしも後見人は単独であることを要しません。
    複数の場合だってあるのです。

    私自身、目にしたことはありませんが、親族が複数人で行うようなケースもあるようです。

    このような場合、財産管理については専門職後見人が、それ以外(身の回りの世話や介護施設、地域包括支援センターとの各種やりとり等)を親族が担当する形になることが大半です。

    分担制ですね。


    親族が後見人になることを希望しているが、管理財産が大きかったり、本人が何らかのトラブルを抱えているような場合に、親族だけでは後見業務の遂行に不安が残ると裁判所から判断されるとこのような形になります。

    相続や不動産の売却手続等を原因に後見の申立てを行う場合などに用いられるケースが多いと言えます。


  4. 『親族後見人+後見監督人』のパターン
    親族が後見業務を行う形ですが、それを監査する意味合いで専門家が監督人として裁判所から選任される形です。

    大まかな意味合いとしては3と同様ですが、専門家の関与方法が直接ご本人に対してではなく、親族後見人の監督者という形になります。

    同じく相続や不動産の売却手続等を原因に後見の申立てを行う場合等、管理財産が大きくなりがちなケースなどに用いられることが多いと言えます。


  5. 後見制度支援信託(複数選任方式orリレー方式)
    本人の財産を信託化するまで、一時的に専門家が後見人として選任される形です。

    尚、この際、親族と専門家が同時に選任される複数選任方式と、専門家が信託手続を終えた後、親族が後見人に選任されその手続を引き継ぐリレー方式とが存在します。

    体感的には前者の方が一般的に思えます。

    権利関係や利害関係が複雑ではなく、かつ、保険や不動産等というよりかは預貯金が多くある場合に用いられる手続です。

    あくまで専門職後見人の関与は限定的なものになりますので(期間にして約半年)、財産は多いがなるべく第三者の関与を避けたい場合などに用いられることが多いと言えます。

まとめ

最終的な判断は裁判所です。
いくらこうしていきたいという希望があったとしても、それがうまくいくかどうかは案件次第です。

ただし、裁判所が聞く耳を持っていないわけではありません。

あくまで本人のことを最優先に考えているだけなのであって、親族のことを蔑ろにしているわけではないのです。
そのため、親族の希望は可能な限り取り入れてくれますし、それが難しくとも代替案を出してくれることもあります。


重要なことはなにを優先するかです。

それに応じて選択すべきです。
結果、自ずと理想にあった後見手続の形が見てくるはずです。

尚、上記はあくまで代表的なパターン例であり、もちろん案件によっては他のパターンもあり得ます。

例えば後見監督人に加え複数の専門職後見人が就くような複雑なケースもあるのです。
その他、任意後見手続から後見手続に移行する場合は、必ず後見監督人が選任されることとなります。

状況に応じて上記のパターンを組み合わせるわけです。

さて、あなたの希望される形はどのようなものでしょうか?

ではでは。