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相続

生命保険は相続財産(遺産分割の対象)になるのか?

さて、今回は生命保険のお話です。

とは言え、僕が保険の営業をするわけではありませんのでご安心ください。
仮にそれが必要な方はその道のプロをご紹介致します。

あくまでここでは「相続時に生命保険はどう扱われるのか?」をテーマに色々とお話させていただこうと思っています。

それでは本編をご覧ください。


生命保険は相続財産にはなりません

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結論から言えば、生命保険は原則として相続財産には当たらず、遺産分割の対象にもなりません。
いわゆる遺産分割協議書に記載することも不要というわけです―

相続手続を経験されたことがある方は、「そう言えば遺産分割期協議書に書いていなかったな?」と思われているかもしれません。
(尚、相続税の申告が必要な場合に税理士さんのつくる遺産分割協議書には生命保険の記載がありますが、これはまた別の趣旨です。詳しくは後記参照ください。)


ではなぜ生命保険は相続財産とならないのでしょうか?


生命保険が相続財産にならない理由

少しだけ難しい言い回しになってしまいますが―


生命保険金は生前に結ばれた保険契約に基づき、保険契約者ではなく、受取人に対して直接支払われるものであり、また、『被相続人(亡くなられた方)の死亡がきっかけとなって利益を得た財産』というわけではないからです。


分かりにくいですよね??
そう思います―

それでは細かく検証してみましょう。
ポイントは赤字部分です。


受取人の指定ある保険はあくまで生前の契約です。
保険契約者が死亡したとしても、生命保険は直接受取人に支払われます。
一度、保険契約者を介すわけではないのです。

<保険金の流れ>
〇 保険会社 ⇒ 生命保険の受取人

× 保険会社 ⇒ 保険契約者(故人) ⇒ 生命保険の受取人


ようするに、保険金自体を相続するのではなく、死亡とういう事実をもってその支払いを保険会社から直接受けるわけです。


結果、生命保険金は相続財産ではなく、『受取人固有の財産』になると考えられています。


そのため、生命保険金は遺産分割の対象にはなりませんし、元より相続財産にはならないので、仮に受取人である相続人が相続放棄手続を行ったとしても生命保険金を受け取ることが可能となるわけです。


意外と知らない人が多いようですけど実はそうなんです。

受取人の指定のある保険金は、借金等を理由に相続放棄を行っていても受け取ることができるのです。
それを知らずに受け取っていない生命保険がある方は、是非、保険会社に請求されてみてはどうでしょうか?

ただし、それにあたっての注意事項もあります。
生命保険の受取にも時効があり、保険法で3年と定められているのです。

該当するか否か、諸々、確認してみてください。


生命保険が相続財産となる例外もある?

この辺が難しいところなんですが、すべての事例において生命保険が相続財産にならないわけではありません。

対象となる保険契約の内容や受取人をどのように指定しているのかによっては、取扱いが異なる(相続財産となる)場合があるので注意が必要です―


考え方は上記の「生命保険が相続財産にならない理由」のとおりです。

例えば保険契約の受取人が特定の相続人(長男等)に指定されているような場合は、上記の原則どおりの取扱いになりますが、「保険契約者=被保険者=保険受取人(いわゆる自分で自分に生命保険をかけて、保険金の受取人も自分自身といったパターンです。)」といった保険契約の場合などは、相続財産となるとの考え方もあります。

<保険金の流れ>
保険会社 ⇒ 生命保険の受取人(故人) ⇒ 相続人 


ようするに、生命保険が『受取人固有の財産』であったとしても、受取人が本人である以上、そこから更に相続が発生するというものです。
上記の事例とは異なり、一度、本人(故人)を介しているのが分かるでしょう。

とは言え、これについては現在でも議論が続いており確定的な答えは未だ出ていません―


生命保険と相続(相続放棄や遺産分割)の注意点

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ちなみに生命保険の中には受取人の指定のない保険も存在します。

これについては対象となる保険約款に従うこととなります。
仮にその保険の内容が、「第一順位配偶者、第二順位同居の親族~」のようになっていれば、まず配偶者が他の相続人に優先し、配偶者の固有財産となるわけです。

この場合であっても、固有の財産は相続財産とはならないため、もし相続放棄をしたとしても、生命保険金の受取は可能です。

その他の注意事項としましては、『生命保険が原則として相続財産にも、遺産分割の対象にもならないからといって、他の相続人がそれに対して常に何も言えないわけではない』という点です。


生命保険と特別受益

昨今、遺産の内、保険の占める割合は増加し続けています。

生命保険金の高額化がその原因にあるのですが、特定の相続人だけを受取人に指定していた場合、他の相続人との関係において著しく不平等と考えられるような場合には、対象となる保険金を「特別受益」として扱うことがあります。

つまり、支払われる保険金があまりに高額で、かつ、他の相続財産の価値と比べると著しく不公平と考えられるような場合であれば、受取人の固有の財産ではなく相続財産として考え、遺産分割の対象とする可能性があるというわけです。

生命保険とみなし相続財産

また、税務上では『みなし相続財産』として扱われる点にも注意が必要です。

尚、みなし相続財産とは、民法上での相続財産には該当しなくとも、税法上では相続財産に含めなければならない財産のことを言います。


ようするに、たとえ相続財産にはあたらなくとも、その分の税金だけはしっかりと支払わなければならないというわけです。

税理さんのつくる遺産分割協議書に生命保険の記載があるのはこのためです―


ちなみに死亡退職金なども同様の取扱いがなされています。

生命保険と相続財産のまとめ

今回のブログはかなり分かりにくかったと思いますので、最後にまとめを少し。


<原則>

  • 生命保険は相続財産にも、遺産分割の対象にもならない
  • 家庭裁判所での相続放棄手続を行っていても、生命保険の受取は可能
  • 税務上は「みなし相続財産」として課税の対象となる

<例外>

  • 保険契約の内容や受取人によっては結論が異なる場合がある
  • 受け取る金額と他の相続財産のバランスによっては特別受益に該当することがある
  • 保険契約の内容や受取人によっては相続放棄手続後に生命保険の受取ができない場合がある


ではでは、また次回に。