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もめにくい遺言書の書き方

さて、今回は遺言書の話でも、少し前に予告しておりました「もめにくい遺言書」のお話です。

貴重な労力やお金を費やすのであれば、できる限り相続人同士がもめにくい遺言書を作りたいとは思いませんか?
遺言書は単に書けばいいものではありません。


第一にちゃんと法的に有効であること―
第二にちゃんと相続人のことを考えたものにすること―


それらを意識することが大事です。

ここでは「もめにくい遺言書の書き方」をテーマに、ポイント等を紹介させていただくこととします。



いくら完璧な遺言書を作っても、もめる時はもめます

いきなり本末転倒な出だしになっていますが、まずはそれを前提におくべきです。
残念ながら絶対にもめない遺言書の書き方なんてものは世の中に存在しません。

相続トラブルは人それぞれですから―

お金が原因になることが多いですが、必ずしもそれだけとは限りません。
親の介護でもめることもあります。
葬儀やお墓のことでもめることもあります。
そうじゃなくても、元々兄弟間や親族間で決定的に不仲な場合だってあります。


だったら遺言書なんてそんなに考えて作る必要はないんじゃないか?
あまり意味がないんじゃないか?


そういう結論に至るのは可能な限り控えてください。
たしかに「絶対にもめない遺言書」は作れませんが、ちょっとした工夫をするだけで、「もめにくい遺言書」、「もめごとを解消しやすい遺言書」は十分に作成可能なのです。



遺言書を作成する上で重視すべきポイント

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さて、ではどのような点に注意し、どのような点を工夫すべきなのでしょう?

世の中、多くの書籍やサイトで遺言書が取り上げられていますが、意外と触りだけで深く踏み込んだものは多くない印象があります。

どうせなら、ここで効率よく学び、より良いものをつくりましょう。


法的に有効であること

これが基本です。
特に我々司法書士などの専門家や公証人の目を通さない、いゆる自力でつくる自筆証書遺言などはより一層注意が必要です。

ただし、これらに必要となる情報を得ることはそんなに難しくはありませんし、過去に当ブログでも取り上げています。



「自分でつくる遺言書の注意点/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/blog/post_55/



もちろん、これらを守ってこその遺言書です。
いくら内容が素晴らしくとも、実社会で使えないのではその価値は半減してしまいます。

まずはこの部分を完璧にクリアーしましょう。
そんなに難しくはないはずです。


その上で注視すべきは―


意図(気持ち)が伝わるようにすること

なんだ、もったいつけた割にはそんなことか―

そう思われるかもしれませんが、本当に大事なんですこれ。


職業柄、かなり多くの遺言書を目にする機会がありますが、これに該当する遺言書にはほとんどお目にかかれておりません。

法的な内容は完璧でも、それ以外の部分は実に簡素なものが大半なのです。

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もちろん、それには理由があります―

遺言書でできることには限界があるからです。
同じく過去に当ブログでも取り上げていますが、それは揺るがぬ事実です。


「遺言書でできることには限界があります/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/blog/post_24/



結果、法律上のルールにとらわれすぎ、本来の遺言書の趣旨から徐々に外れていってしまうのです。


法的に有効であること。
これは大切と言うか、大前提です。

ただし、必ずしも遺言書の内容のすべてが、それに捕らわれ過ぎる必要はないのです。

守るべきところはしっかり守りつつ、もっと自由に、もっと伝わりやすい表現をすべきなのです。



遺言書を書く本来の目的とは?

原点回帰してみましょう。

ちなみに財産の分配指示が本来の目的そのものですか?
あくまでそれは手段であり、目的の一部ではありませんか?


遺言書を書く本来の目的は、故人の『言葉』を相続人に伝えることであるはずです。

『終活』がブームになり、遺言書の中身ばかりがクローズアップされ、肝心な部分が抜け落ちてしまっているようにも思えます。


付言事項の有効活用

では、具体的どうすればいいのか?


遺言書には『付言事項』と呼ばれるものがあります。


付言事項とは、遺言書に付け加えることができるメッセージのようなものです

要はお手紙です。
それに対して法的な効力は生じません。
反面、何を書いてもかまいません。
遺言書でできることには限界がありますが、付言事項に何を書くかは遺言者の自由なのです。


ある意味において、それは『無駄』です。
ただし、その『無駄』こそが大事なんです。

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ちなみに付言事項でよく見られるのが、残された家族への感謝の言葉などです。
その他、葬儀やお墓についての指示なども多いですね。

いずれも大事なことですし、記載することを推奨します。
要望等あれば是非書いてみてください。


ただし、より書いて欲しいのが『説明』です。



なぜそのような遺言内容にしたのか?



できれば、そこに触れていただきたいと思っています。


例えば、長男に対して他の相続人よりも多くの遺産を相続させるとして、それはなぜなのか?
日頃から身の回りの世話をしてきた長女差し置く理由がそこにはあったのか?


『言わなくてもわかるだろう』と言うのは迷信です。

言わなければわかりません。
もしくは、それぞれがそれぞれに都合の良い解釈をするだけです。

格好つける必要もありません。

ありのままを書けばいいんです。
自分の財産なんですから、自分の独断と偏見で分配すればいい―

ただし、『こう思っているから、こう分けた』、何よりそれが大事なんです。


法的な効力はなくとも、心理面に与える影響は大きい

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一概には言えません。
一概には言えませんが、相続人の誤った解釈がトラブルを呼ぶ原因になることが多のも事実です。

ですので、付言事項を用い、しっかり説明をしましょう。
遺産を多く受ける人だけではなく、少なく受ける人、全く受けない人、それぞれの理由を明記しましょう。

難しいことではないでしょうし、文章が下手でも問題ありません。
むしろ専門家が書くような硬い文章よりも、下手だったとしても自分の言葉で書く方が伝わりやすい面も多々あります。

思いのたけを表現することを恥ずかしがる必要もありません。
言葉は悪いですが、どうせそれが読まれている時点では、あなたは死んでいます。

どうか、気にせず書いてください。


また、仮にそこまでやった上で相続トラブルが起きたとしても、それが無駄になることはありません。
遺言者の意思と分配理由が明確であれば、相続人同士が話し合う内容も自ずと異なってきます。

もめたとしても解消しやすい状況になり易いわけです―


尚、これらは自筆証書遺言だけではなく、公正証書遺言についても同様のことが言えます。
公正証書だからと言って、付言事項が、財産分配の説明が、いらないと言う結論にはなりません。

公正証書遺言の場合は、ページ数が増えると手数料が変わることがあるので、書き過ぎには注意が必要かもしれません。
ただし、かかる金額は事前に分かりますので、とりあえずは自由に書くべきです。

必要ならその後に微調整すればいいだけの話なのです。



さて、これらを踏まえて上で、あなたはどんな遺言書を書きたいと思いますか??

ではでは。