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遺言

自分でつくる遺言書の注意点

さて、今回は『遺言書』のお話です。

徐々に遺言書の重要性は認知されてきたように思われますが、『遺言書』は"とりあえず"書いておけばいいものでは決してありません。

ルールを守り、『誰に』、『何を』あげたいのかが明確になってこその遺言書です。

こういう仕事をしていますと、多くの遺言書を目にしますが、中には相続手続に利用できない遺言書もちらほら―

そこでここでは、『自分でつくる遺言書』をテーマにその注意点等をご案内させていただきます。


まず前提として―

いきなり主題から外れてしまいますが、『遺言書』は、極力、我々司法書士等の専門家に依頼するか、最低でも一度目を通してもらうことをお勧めします。

本ブログもそうですし、最近では遺言書の書き方を紹介した書籍などよく目にします。

それによって遺言書の重要性の喚起にもなりますので、そうした動き自体は歓迎すべきものなのですが、
文章だけでは遺言書作成にあたっての細かいニュアンスがどうしても伝わりにくい―

そして、遺言書を作成するにはその細かいニュアンスが大切だったりもするわけです。


とは言え、専門家に頼むと金銭が発生するのも事実です―

そこで司法書士九九法務事務所では、初回のみ無料で『遺言書の起案』をチェックさせていただくサービスを行っております。

「遺言の費用・報酬/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/service/will/post_12/

是非、ご活用ください!


どのような点に注意すればいいのか?

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遺言者自身が手書で作成する遺言書のことを『自筆証書遺言』と言います。

書いてハンコを押すだけなので、ある意味、最も簡単にできる『終活』と言えるでしょう―
全部自分でやればお金もかかりません。

ただし、自筆証書遺言は簡素である反面、定められたルールを守らなければ、せっかくつくっても無効になってしまったり、本来の目的が果たせなくなってしまうことがあります(ちなみに公正証書遺言では、記載内容についても公証人が関与しますので、そうした心配は少ないです。)。

そのため、ここでは自筆証書遺言作成上の注意点を下記にまとめてみました。

尚、この度の相続法の改正に伴い、遺言実務にも変更が生じております。
来年1月からはその「新相続法」が施行される予定ですので、こちらも合わせてご確認ください。


「民法(相続法)が改正されます/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/blog/post_56/

・パソコン等、自筆以外の方法で遺言書を作成していませんか?

自筆証書遺言は、必ず遺言者本人が自筆する必要があります。
便利だからと言ってパソコンで作成したものは、その記載内容に関わらず無効です。
他の家族等が代書することも許されません。
一部だけの代書も無効になってしまいます。

※相続法の改正に伴い、施行日以降(2019年1月予定)は財産目録についてはパソコン等での作成が可能となります。
ただし、その他の項目(本文、氏名、日付等)は原則どおり自筆する必要がありますのでご注意ください。



・遺言書の作成日付の記載はありますか?

自筆証書遺言は、作成日付を遺言者本人が自筆する必要があります。
その際、平成何年何月何日をきっちり記載しましょう。
例えば、平成26年11月吉日と言った曖昧な記載では無効となってしまいます。


・印鑑の押印をお忘れなく

押印のない自筆証書遺言は無効です。
書き終えた後、署名の横に必ず押印をしましょう。
尚、法律上はどの印鑑でもかまいませんが、後にトラブルを防止する意味合いでも、ご実印が最も望ましいと言えます。


・人物の特定をしっかり行いましょう

遺言する人、貰う人、人物の特定をしっかり行いましょう。
フルネームであるのはもちろんのこと、生年月日を記載することをお勧めします。
より人物を特定するためです。

<例> 第1条 遺言者は、長男である川口一郎(仮名)(生年月日)に次の遺産を相続させる。



・夫婦が共同で一つの遺言書を作成していたりはしませんか?

これ、たまに見ます。
夫婦仲が良いのは伝わってきますが、それとこれとは別問題です。
民法には、「共同遺言の禁止規定」というものが定められています。
簡単に言うと、「二人以上の者が同一の用紙で行った遺言は無効」とういことです。

この場合、たとえ他のすべての様式を満たしていたとしても、その遺言書は無効となってしまいます。
ここで重要なことは、夫婦が相談して遺言書を作成すること自体が駄目なのではなく、二人が同一用紙に署名押印することに問題があるのです(遺言書のどの部分が誰の意向か分からなくなってしまうためです。)。

そのため、夫婦仲良く遺言書を作成する場合は、それぞれが個別に作成し、かつ、別々の封筒に封印するようご注意ください。


・対象となる財産の特定はしっかりできていますか?

自筆証書遺言としては有効であっても、財産の記載内容に不備がある場合は、本来の目的を達成することができなくなってしまうことがあります。

内容次第では、銀行や法務局で実際に使用できないことも―

例えば、不動産が遺言対象である場合、稀に「東京都港区新橋の土地を~に相続させる~」といった記載をされる方がいます。

残念ながら、これを基に相続登記を行うことはできません。
理由は不動産の特定に難があるからです。

たとえ遺言者が港区新橋に所有している土地が一筆だけであったとしても結論は同様です。

また、対象の不動産の「住居表示」を記載することも避けた方がいいです。
人の住所と不動産の住所は必ずしも一致しないことがその理由です。

参考までに―


「よくあるご質問:住民票上の住居表示と購入した不動産(マンション、戸建て)の所在が異なるのはなぜなんでしょうか?/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/faq/post_55/


結論からすると、不動産を遺言書に記載する場合は、法務局で取得できる「登記事項証明書」、もしくは権利証(登記識別情報通知)や、毎年税務署から送付されてくる固定資産税の納税通知書に記載ある不動産の表示をそのまま記載することを強くお勧めします。

尚、遺言の対象が預金であれば、銀行名、支店、口座番号で特定するのが良いでしょう。

相続法の改正に伴い、施行日以降(2019年1月予定)は財産目録についてはパソコン等での作成が可能となったため、例えば財産の特定についても登記事項証明書や預金口座の写し等を遺言書に直接合綴することができるようになるものと思われます。株式や投資信託等の有価証券は特に財産を特定するのが面倒なため、証券会社からの取引報告書等をそのまま利用するのがいいのではないでしょうか?



・誤字脱字により遺言書の訂正は極力やめておきましょう

自筆証書遺言の訂正は、はっきり言って面倒です。


単に訂正箇所に二重線を引いて押印するだけでは駄目なのです―


訂正した文の横に「何文字加入、何文字削除」したかを記載し、その下に遺言者本人の署名を行ったりする必要があります。
仮にこれを一つでも間違ってしまうと、変更・削除・加筆した箇所は無効になってしまいます。

そのため、面倒であっても、訂正等はあまり考えず、もう一度始めから書き直すことをお勧めします。
下手なリスクを背負うよりは、それが賢明です。



・「~に相続させる」又は「~に遺贈する」という記載内容にしましょう

相続人に対して遺産を相続させる旨の遺言書を作成する場合には、必ず「~に相続させる」といった文面にしましょう。
稀に「~に譲る」と言った文面があるのですが、いらぬ誤解を招きかねませんので注意が必要です。
また、相続人以外の第三者に遺産を残す場合は、「~に遺贈する」といった文言が良いでしょう。



・なるべく遺言執行者を定めましょう

遺言執行者とは、遺言者の死後に遺言書の内容を実現させる人を言います。
これを定めていない場合、遺産を相続しない相続人も遺言書の内容を実現させる手続に関与するため、余計なトラブルを招きかねません。

遺言執行者は、必ずしも定めなければならないわけでもないですが、定めておくに越したことはありません。

また、その対象に制限はなく、第三者でも、受遺者(実際に遺産を相続する相続人)自身であってもかまいません。


・遺言書作成には意思能力が必要です

当然のことではありますが、遺言書を書く人には意思能力が必要となります。
そのため、認知症を患い事理を弁識できる能力のない方や、15歳未満の未成年者は遺言書を作成することができません。


最後に

遺言書の記載内容は基本的には自由です。
上記の注意点を守りつつ、思いの丈をぶつけてみてはいかがでしょう。

今回は遺言書の内容面の話でしたが、近く、『もめにくい遺言書の書き方』をテーマに記事を作成しようと思っています。
あわせてご参考いただき、ご自身で納得のいく遺言書を作られてみてはいかがでしょう?

無駄になることはまずありませんよ―

ではでは。