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相続

相続登記は自力で出来るものなのか?


いつもお読みいただきありがとうございます。



まだまだ新型コロナウイルスの混乱から脱し切れているとは言い難い状況ですが、Jリーグ等、プロスポーツの再開が発表されました。
楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか?
私的には、どんな形であれ日常に娯楽は必須だということを思い知らされた数カ月でした。
何の問題もなく、無事再開できることを願っております。



さて、今回は司法書士等に依頼せずに、自力で、独力で行う相続登記のお話しです。
さすがにこれさえ見れば誰でも相続登記をできるようになるわけではないでしょう。
簡単な案件も複雑な案件もありますので。

ただし、どういった手続等が必要なのかを把握するのは良いことだと思います。
その上で、「これだったら頑張って自分でやろう」とか、「これをわざわざやるぐらいなら司法書士等の専門家に依頼してしまおう」と言った判断基準にもなるでしょうからー


果たして相続登記完成までに最低限どのような手続が必要なのでしょう。




<目 次>





1.相続手続に必要となる戸籍謄本等について

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とにもかくにもここからです。


相続登記の基本中の基本は、お亡くなりになられた方の戸籍収集作業です。
尚、勘違いされている方も多いですが、死亡時の戸籍(最新の戸籍)だけで足りるわけではありません。


あくまで、「出生時から死亡時迄の一連の戸籍謄本等のすべて」が必要になってきます。


なぜ?と思う方も、死亡の事実が分かればいいだろう?と思う方もいるでしょう。
確かにその疑問も分からなくはありません。



では、法務局や金融機関等、相続手続を受ける側にたって考えてみましょう。



提出された戸籍謄本から最低限死亡の事実は分かります。
また、相続の内容や添付している書類にもよりますが、申請者が亡くなられた方の相続人であることもある程度分かるでしょう。



しかしながら、それだけでは絶対的に不足している情報があるのです―



それでは、少し視点を変えてみましょう。
出生から死亡迄の戸籍謄本等からは何を読み取ることができると思いますか?
そもそも、戸籍には何が記載されのか―


そこから得られる情報は、亡くなられた方の身分関係です。


出生から死亡迄の一連の戸籍謄本等をすべて集めることで、「出生」、「結婚・離婚」、「子の出生・死亡」、「養子縁組・離縁」、「認知」等々、亡くなれた方の身分関係のすべてが戸籍という公的な書類で証明することができるわけです。


そして、身分関係が分かれば、婚姻や子の有無等が分かります。
結果、一連の戸籍から相続人が誰であるのかを確認することができるわけです。


話を戻しますと、法務局や金融機関等、相続手続を受ける側にとっては、この「相続人が誰であるか?」という点が非常に重要になってきます。
仮に申請者に悪意がなかったとしても、相続人の内の一人が相続手続から漏れてしまっており、後になって私も相続人なのにという人が現れるかもしれません。
もしくは、悪意で相続人の一人が他の相続人に内緒で手続をしているだけかもしれません。


判断材料が乏しい以上、法務局や金融機関側にそれらを見分ける術はありません。
結果、そうしたトラブルを未然に防ぐ趣旨で、戸籍という公的な書類で相続関係を確認し、諸々の手続に当たるというわけなのです。


その方が公平ですし、ミスも起こりにくいとー


とても大変な作業にはなりますが、ちゃんとした意味があり、トラブル防止にも繋がっているわけですね。




1-1.子のいない家庭~父母が相続人になる場合に必要となる戸籍謄本等~

亡くなれた方の出生から死亡迄の一連の戸籍謄本等。
遺言書でもない限り、あくまでこれが基本です。


ただし、実のところこれだけで足りるケースもあれば、そうでないケースもあるのです。
ただでさえ大変なのに、他にもっともっと戸籍等を取得しなけばならいことがあると...


ちなみに足りるケースとは―


  • のみが相続人(配偶者は離婚または先に死亡しているようなケースです。)
  • と配偶者が相続人



ごく一般的な相続の形ですね。
とにかく、子がいる場合と認識しておけば分かり易いでしょうか―


では、子がいない家庭はどうでしょう?
未婚だけではなく、既婚で子がいないケースも当然含まれてきます。

子がいない場合の相続は、配偶者に加え、亡くなれた方の父母や祖父母、兄弟姉妹や甥姪が相続人になることがあります。
そうすると、亡くなれた方の出生から死亡迄の一連の戸籍謄本だけでその繋がりが証明できるでしょうか?



答えは"否"です。



あくまでそれで証明できるのは亡くなられた方自身の身分関係です。
被る戸籍は幾つかあるでしょうが、そのすべてを証明できるわけではないのです。


つまり、別に新たな戸籍謄本等を集める必要が生じると...


尚、父母が相続人なるケースはそれほど面倒ではありません。
具体的には以下のようなケースです。


  • 父母のみが相続人
  • 配偶者と父母が相続人



これらのケースの相続手続で必要となる戸籍謄本等は、基本である亡くなれた方の出生から死亡迄の一連の戸籍謄本等に加えて、父母の現在の戸籍謄本
が必要になるだけです。
子の有無は既に証明できていますので、ここで必要とされるのは父母の生死のみだからです。
尚、父母の一方が既に死亡している場合であっても結論は変わりません。
仮に父が亡くなっていても、母の現在戸籍があればそれで足ります。

その点で言えば、子がいるパターンの相続登記とほぼ変わりないという事になります。
問題と言うか、より大変なのは、これからご紹介する兄弟姉妹や甥姪が相続人になるパターンなのです。





1-2.子のいない家庭~兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合に必要となる戸籍謄本等~

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死亡時に子や孫がおらず、父母なども既に死亡している場合ですね。
年齢的な部分からして、父母が相続人になるよりも兄弟姉妹が相続人になるケースの方が圧倒的に多いと言えます。


なので、ある意味、よくあるケースなのです。


大枠の考え方は、これまでとそんなに大きくは変わるものではありません。
まず基本となる亡くなれた方の出生から死亡迄の一連の戸籍謄本」、これは必須です。



では、その他の必要となる戸籍等をご紹介する前に、まず何を証明すべきかを考えてみましょう―



答えは意外とシンプルです。

そうです。兄弟姉妹の有無です。
ただし、異父兄弟、異母兄弟もこれに含まれてきます。
異父や異母であっても兄弟姉妹に違いはありませんからー


そうなると、必要となる戸籍等は??


先に説明した子が相続人であるパターンに置き換えて考えてみると分かり易いと思います。
出生~死亡までの戸籍謄本等を取得すれば子供の有無が分かるのですから、同じく父母のそれを取得すれば自ずと兄弟姉妹の有無が分かると。
異なるのは異父・異母についても考慮する必要があるため、集めるべき戸籍は父と母双方の出生~死亡までの戸籍謄本等
である点です。


結果、それらの戸籍謄本等で公的に兄弟姉妹の有無を証明できることになるわけです。


ちょっと考えるだけでも大変そうですよね...
ただ、本当に大変なのは甥姪が相続人になるパターンなのです。



説明せずとも、もう何となく想像できるのではないでしょうか?
いわゆる上記で言うところの兄弟姉妹が相続人になるパターンで、かつ、その兄弟姉妹の中に既に死亡している者がいる場合です。

端的に言うと、兄弟姉妹が相続人になる際に必要となる戸籍謄本等に加え、死亡している兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等が必要になります。
そうです。今度は甥姪の有無を証明する必要があるからです。


ケースにもよりますが、取得すべき戸籍謄本等の量はかなりのものに...


これらすべてを集めるのは日々こうした業務を行っている僕等でも大変です。
何年も放置された相続の案件などは、数次相続(相続登記をしない間に相続人が新たに死亡した状態)が発生してしまい、もっともっと大変になるようなことも...

簡単なものは簡単ですが、大変なものも多いのです相続登記は。




1-3.必要となる戸籍謄本等のまとめ

文章だけでは分かり難いと思いますので、ご説明した戸籍謄本等の内容を以下に簡単にまとめてみます。

尚、上記では紹介していない孫や祖父母が相続人になるケースも記載しております。
そう多くはないでしょうが、起こり得ないことではないので...



相続人の種類 必要となる戸籍謄本等の種類
子が相続人になるパターン 亡くなられた方の出生~死亡迄の戸籍謄本等+相続人の現在戸籍謄抄本
父母が相続人になるパターン ①と同様
兄弟姉妹が相続人になるパターン ①+父母の出生~死亡迄の戸籍謄本等
甥姪が相続人になるパターン ③+死亡している兄弟姉妹の出生~死亡迄の戸籍謄本等
孫が相続人になるパターン ①+子の出生~死亡迄の戸籍謄本等
祖父母が相続人になるパターン ①+父母の死亡の記載ある戸籍謄本等




これらの戸籍を収集するのも、もちろん大変なのですが、それ以前に"誰が相続人になるのか"を正しく理解しておく必要があります。
上記のケースでだいたい網羅できるとは思いますが、更に面倒になるケースもあり得ます。
代襲相続や数次相続が複数絡みだすと面倒なことこの上ない感じになったりも...

ほんと、様々なんですよ相続手続はー

尚、誰が相続人になるのかについては、次の記事を参照ください。
事前に相続人を把握しておく趣旨の記事ですが十分参考になると思われます。


「相続人になるべき者は誰か?~推定相続人を把握しておこう~/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/blog/post_123/





2.具体的な戸籍謄本等の取得方法

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戸籍謄本等は、住所地ではなく本籍地で取得できるものです。


当然と思う方も多いでしょうが、自身の戸籍謄本一つ取るのに苦戦する方が多いのもまた事実です。
どうやら運転免許証に本籍地が記載されなくなったのが影響しているような...
そんなに使用機会が多いわけではないですからね本籍の記載は。


さて、自身の本籍地もそうですが、亡くなられた方の本籍地は分かりますでしょうか?


思い出すのが無理なようなら、まず自身の戸籍謄本を取得し、従前の本籍地の記載を確かめてみましょう。
尚、一度も結婚していない方であれば、両親の戸籍に入ったままのはずです(いわゆる同じ本籍地です。)。
結婚後、一度も本籍を変えていないのであれば、従前の本籍地の記載が両親の本籍地になります。
離婚や結婚後に本籍地を変更している場合は、面倒かもしれませんが自身の戸籍を遡ってみましょう。
いずれ必ず両親の本籍地の記載に辿りつくことができます。


自身の本籍地すら全く思い出せない場合は...
自身の住民票を"本籍地入り"で取得しましょう。
さすがにそれで分かるはずです。


その辺の準備が整えば、次はいよいよ本番です。
亡くなられた方の出生から死亡迄の戸籍謄本等の取得手続に入ります。


尚、仮にこの辺で大苦戦しているようであれば、この先は更なる苦労が待ち構えていると思ってもらってもいいかもしれません...




2-1.戸籍の種類について

先ほどから戸籍謄本(等)と表現しているのには理由があります。


戸籍には色々な種類があるからです。
そうした文言をある程度理解しておけば、あるいは大変な戸籍収集も捗るかも(?)しれません。


まず分かり易いところで言うと、"戸籍謄本""戸籍抄本"の違いでしょうか―


戸籍謄本はその戸籍全部の事項を証明するものです。
対して戸籍抄本は、対象となる人物のみを証明するものです。


例えば、夫婦と子二人の4人家族の戸籍謄本は、家族皆が記載されます。
奥さんを対象とした戸籍抄本には、奥さんのみの記載しかなく、他の家族は記載されません。


尚、亡くなられた方の戸籍謄本等は、すべて抄本ではなく謄本を請求ください。
あくまで身分関係を証明する必要があるので、抄本では意味がないのです。



次に"除籍謄本"と呼ばれるものがあります。
いわゆるかつての戸籍であり、現在は既に誰もいなくなった戸籍ですね。

尚、かつての戸籍であっても、その戸籍に誰かがまだ残っているのであれば、それは除籍謄本にはなり得ません。
対象者が除籍してるだけであって、戸籍自体は普通の戸籍謄本です。
あくまで、今は誰もいない戸籍謄本を除籍謄本と呼ぶわけなのです。


まだあります。
その名も"改正原戸籍"

いかにも面倒そうな名称ですよね...
正式な読み方は、"カイセイゲンコセキ"といいます。
余談ですが、業界的にはなぜか"ゲン"ではなく"ハラ"と呼ぶことが多いです。
"ハラコ"という無理な省略名称で呼ばれることも...

これは法改正などによって戸籍の書き替えが行なわれた古い形式の戸籍を指します。
実のところ、戸籍の形式はこれまでに何度か大きく変わっています。

例えば、かつての戸籍は、戸主とその両親や兄弟、子供等で編成されていました。
一族が皆同じ戸籍にいるようなイメージですね。
これを「3代戸籍」とも言うのですが、それが廃止され、現在の夫婦とその子供で編成する「2代戸籍」になったのが代表的な変更点と言えるでしょう。

尚、改製が行われると古い戸籍は閉鎖されてしまいます。
この閉鎖された古い方の戸籍を、改製原戸籍謄本と呼ぶのです。



ちなみに以前の戸籍は縦書きです。
もっと古いものは、かつ、手書きです。

それなりの年齢の方の出生~死亡迄の戸籍謄本等を集めてみれば、きっとこれらの戸籍等を目にする機会もあることでしょう。




2-2.戸籍謄本等は郵送申請が可能

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産まれてから亡くなるまでずっと同じ本籍地にいる方も、全国を転々としている方もいます。
そればかりか、たまに住所変更の度に本籍地を変更されている方も...


仕事や結婚等々、それぞれに色々な事情がありますからね。


既述のとおり、戸籍は本籍地で取得するものです。
いわゆる必要となる戸籍等の取得に際し、全国津々浦々の役所が対象になる可能性があると...


とは言え、ご安心下さい。
必ずしもそれらの役所に足を運ぶ必要はなく、申請書を各役所のホームページからダウンロードし、郵送申請を行うことも可能なのです。

僕自身、よっぽど急ぎの案件でもない限り、実際に役所の窓口に足を運ぶことはありません。
ほぼすべて郵送で申請しています。
そのため、当然ながらその分の旅費日当を請求したりはしていません。
たまに行ってみたいな~と思う役所もありますが、そこはぐっと堪えている感じですね。


ただし、この戸籍等の郵送申請には一転面倒な部分があります。


戸籍取得にかかる手数料なのですが、窓口で取得するようにはいきません。
防犯上(?)の関係からか、現金で納めることができないのです...


では、どうするのか??


"定額小為替(ていがくこがわせ)"というものをご存じでしょうか。
これをわざわざ郵便局で購入し、申請書等と同封して送付する必要があるのです。


ちなみに、定額小為替には50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円 、1,000円の12種類が存在します。
想定される戸籍取得費に合わせて購入する感じになります。


尚、定額小為替の購入には手数料がかかります。

定額小為替1枚につき100円(税込)です。
50円の定額小為替でも100円、1,000円の定額小為替でも同じく100円、複数枚購入しても1枚ごとに100円の手数料がかかるシステムなのです。


結構、高いですよね...
なるべく通数が多くならないような買い方をするのが賢明かと。

尚、定額小為替の有効期限は、発行日から6か月です。

ちなみに有効期限の過ぎた定額小為替は、郵便局で再発行することも換金することも可能です。
多少買い過ぎた程度であれば大きな問題にはならないでしょう。
ただし、それでも発行日から5年を過ぎてしまうと、再発行も換金もできなくなりますので、その点には注意ください。




2-3.戸籍謄本等を郵送申請する際のポイント

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戸籍謄本等の取得方法はある程度分かったとして、それでは何をどのように取得すればいいのか?


既述のとおり、戸籍はこれまでに何度か法改製されてきた経緯があり、一つの役所に複数の戸籍謄本(改正原戸籍謄本)が存在するケースが多いです。
相続登記には、出生~死亡迄の一連の戸籍謄本等のすべてが必要になるため、いわゆるそれらを漏れなく取得する必要があるとー


ただし、どのような戸籍が何通あるのかを、どのように判断すればいいのでしょうか?


結論からすると、僕にも詳細は分からないことがほとんどです。
経験上、ある程度の想定は可能なのですが、正確なところは実際に取得してみないと分かりません。


そして、それが普通なのです。
おそらく次のような疑問が頭に浮かんでいるのではないでしょうか―


  • 申請書にどのように書けばいいのか?
  • 定額小為替は幾ら同封すればいいのか?



もっともな疑問だと思います。
特定の戸籍(例えば自分の現在戸籍の取得等)を取得するのであればまだしも、お亡くなられた方(被相続人)の戸籍等となると難しいですよね。


結論からすると―


申請書には、「取得可能な被相続人名義のすべての戸籍謄本等」とするのが無難です。
定額小為替は複数枚の戸籍謄本等を取得する前提で多めに同封しましょう(もしくは通数が確定した後、別に送付しましょう。)。
ちなみにお釣りも定額小為替です。


また、かかる費用については以下の通りです。


  • 現在の戸籍謄本:450円
  • その他の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍):750円



割と高めです。
しかも、全部で1~2枚で済むことはまずありません。
そのため、取得すべき戸籍謄本の通数が多ければ多いほど、手間も実費も大きくなりがちなのです。




2-4.戸籍を読み解く知識がある程度求められる

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必要となる戸籍謄本等が一つの役所ですべて取得できる場合には、そこまで問題にはなりません。
ただし、幾つかの役所で取得しなければならないケースの方が割合的には多いと言えます。


そのため、次にどの役所で戸籍謄本等を取得すればいいのか―
ある程度、それを戸籍から読み解く能力が求められてくるのです。


ちなみに近年の戸籍謄本等であれば、そんなに苦戦することはないと思います。
記載内容が分かり易い文字で印字されている等々、とにかく色々な面で見やすいので。


問題は古い戸籍です。
昔の戸籍は縦書きであり、かつ、更に古いものになると手書きになります。
加えて、お世辞にも上手いと言い難いような文字も多いと...
また、使用されている日本語自体も古いですし、今は統廃合等で存在しない市区町村が記載されていることも...


そこから頑張って必要な情報を読み取る必要があるわけです。


尚、基本的な戸籍の見方は、まず戸籍の始まりと終わりを判断するところから始まります。
例えば、どういった原因で対象の戸籍が作成され、また除籍となったのかー



「転籍」なのか?
「家督相続」なのか?
「分家」なのか?
「改製」なのか?
はたまたこれとは異なる原因なのか?


その上で、対象者(被相続人)がその戸籍に何歳から何歳まで在籍していたのかを判断するのです。
出生時から在籍していないのであれば、更に古い戸籍を遡っていく必要が生じます。


この辺はある種の専門知識になってきますので、どうしても一朝一夕にはいかないのです...



では、どうすればいいのか??



月並みの回答になってしまいますが、その辺を自身で学ぶか司法書士等の専門家に依頼するのではない限り、既存戸籍を取得した役所に聞くのが一番です。
もちろん、役所にもよるでしょうが、ある程度は教えてくれる(?)はずです。
(窓口に直接行ける役所ならまだいいですが、輸送申請の場合だと互いに説明するのが大変そうですけど...)





3.その他、相続登記に必要となる書類

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かなり頑張って戸籍謄本等を取得できたとして、相続登記に必要となる書類はこれだけでは済みません。
まだまだありますし、かつ、下記はあくまで最低限の書類です。



<お亡くなりになられた方(被相続人)>

  • 除住民票または戸籍の附票
    ※端的に言うと、お亡くなりなられた方の住民票です。尚、過去の住民票ではなく、死亡後に取得するものです。これが必要となる趣旨は、ちょっと説明が難しいのですが、「登記されている人物と戸籍上の人物を繋げるもの」になります。
    もう少し分かり易く表現するならば、法務局に対し、登記上のAさんと、戸籍上のAさんは同一人物であると証明するとでも言いましょうか―
    そのため、登記されている住所と最後の住所は同一であるか、異なるのであれば更にその住所遍歴を繋げる必要が生じるわけです。
    結果、除住民票だけでは足らず、戸籍の附票(改正原戸籍の附票)等が求められることも...
    この点においても簡単なものは簡単ですが、それなりに面倒になることも多々あるわけです。



  • (不在籍証明・不在住証明)
    ※尚、これは必須の書類ではありません。何らかの理由(空襲等)で戸籍が繋がらなかったり、上記の被相続人の住所が繋がらなかったりする場合に求められる可能性のある書類となります。基本、この辺の可否は法務局判断となります。



<相続人>

  • 住民票(不動産を取得する相続人のみ必要)
  • 印鑑証明書(遺産分割協議を行う場合のみ相続人全員のものが必要)



<対象不動産に関する書類>

  • 固定資産評価証明書
    ※登録免許税算定のために必要となる書類です。対象不動産のある役所で取得できます。



これで一般的な相続登記に必要となる書類が出揃いました。
後はそれぞれの事情に応じて適宜追加等していく感じですね。





4.登記書類の作成

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相続登記に必要な書類がすべて揃ったら、残すは法務局での登記申請手続のみです。
登記申請書や、場合によっては委任状、遺産分割協議書等を作成する感じですね。

とは言え、日常的に触れる書類でもないでしょうから、あまりイメージできないかもしれません。
ネットで検索すると結構色々出てきますが、本当にこれでいいのか?


結論からすると、申請書も遺産分割協議書もあくまで事案に応じて作成する書類です。
書籍やネット上に溢れている情報は、参考にはなることは間違いないですが、それでいいかどうかは全体の内容を見てみないと判断できません。
仮にパターンごとに応じてその辺を細かく説明するならば、もはやそれは一冊の本が出来上がってしまうレベルなのです...


そのため、司法書士等の専門家に依頼せず相続登記を独力で行うのであれば、事前に相応の情報取集を行った後、法務局に直接相談するのが一番の早道かと。


ちなみに現在、法務局での登記相談は原則予約制になっています。
相談時間も20分~30分ぐらいが多いでしょうか―


感覚的には、かなりしっかり下準備をしておかないと、一回の相談ですべてを済ませるのは、あまりにもハードルが高過ぎると思われます。
おそらく二回、三回、もしくはそれ以上の回数、法務局に足を運ばれる方も多いのではないでしょうか?


また、登記相談はあくまで相談であって、事前審査とは異なります。
そのため、苦労してようやっと登記申請ができたとしても、登記官の審査の結果、追加書類や訂正を求めらることも十分に考慮しておくべきなのです。

また、法務局の土日祝日対応は今のところありません。
平日の決められた時間、法務局によっては決められた曜日に相談に伺う他ないわけです。


大変そうですよねほんとに...




5.結局のところ相続登記は専門家に依頼した方がいいのか?

仮に僕に相続登記手続の知識や経験がなく、基礎の基礎から調べる段階だったとすれば、司法書士等の専門家に依頼すると思います。
理由は簡単です。


そこに割く時間と労力の方がよりもったいないと判断するからです。


例えば、その分、他の仕事をしていた方が結果的には得なんじゃないかとも思います。
であれば、より良い専門家探しの方にベクトルを傾けたいなと...


だだし、自力で行う相続登記を否定するわけでは決してないです。
実際、自身で相続登記を行われる方は少なくないですからー
少なくとも僕だったらの話です。



あまりお金をかけたくない。
自分で経験してみたい。



大いに結構かと。



そうであれば、一度チャレンジすべきです。
そして、仮に途中で挫折してしまったら、そこから司法書士等に依頼する方法もあります。

実際、当事務所にも最初は自分で頑張っていたが、途中で挫折してしまったような方も相応にいらっしゃいます。
何も恥ずかしがることではありません。
ある意味、手続の方が難し過ぎるのです。

また、そうした方は頑張られた分、必要書類の多くが既に揃っているため、費用をお安く対応させていただくこともあります。


ようするに、そうした努力も必ずしも無駄になるわけではないのです―




6.まとめ

今回は自力で行う相続登記のお話しでした。


なんとなく面白いかな?と思って書き始めたところ、あっという間に結構な量に...
いかに相続登記が、登記業務そのものが、細かく、面倒なのかの表しているかのようです。
ちょっと


ちなみに"代書屋"というものをご存じでしょうか?
江戸時代頃から実際にあった職業であり、本人に代わって書類や手紙等の代筆を行っていた職業でした。
それが明治時代になり、今の司法書士や行政書士に引き継がれていった感じですね。

いわゆる、僕等の業務は本来、自分でできる作業を代わりに行わせていただいているに過ぎないのです。
そのため、当然、相続登記も決して自力でできないものではないと...


しかしながら、今も昔もそうですが、それが面倒だからこそ僕等のような職業が存在しています。


さて、あなたならどうしますか?

それでは今回はこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一