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相続相続手続の負担を軽減しつつ、かかる費用を抑えるには(お安く済ませるには)?
いつもお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は何かと大変でいて、何かとお金がかかってしまう相続手続を、なるべく安く済ませる方法についてのお話しです。
尚、忙しくて時間がない方、面倒なことはとにかく避けたいという方にはあまり向かない内容です。
反面、ある程度ご自身で動ける方、相続手続を自分でやってみたいが自信がない方等には、相応に有用な情報になり得るものと思われます。
興味がある方は是非に。
<目 次>
- 1.相続手続にはどういった手間と費用がかかるのか
1-1.被相続人(お亡くなりになられた方)の戸籍謄本等の収集
1-2.相続人となる者の戸籍謄本等の取集 - 2.手続の一部だけを専門家に依頼するという発想の転換
2-1.法定相続情報の有効活用
2-2.自力で行う相続登記も幾分楽に - 3.まとめ
1.相続手続にはどういった手間と費用がかかるのか
まず、適正な遺言書があるかどうかで異なってきます。
いわゆる、遺言書があれば、相続手続に必要となる書類の簡略化が可能となるからです。
当ブログでは再三ご紹介していますが、本当に便利なのです遺言書はー
ただし、以前に比べれば随分浸透してきたものの、まだまだ遺言書が存在しない事例の方が圧倒的に多いのも事実です。
司法書士九九法務事務所で取り扱わさせていただいている相続案件でも、体感で1割にも満たないものと思われます。
そこで本ブログでは、遺言書がなく、お亡くなりになられた方の戸籍謄本等、面倒な書類を集めざるを得ないケースを想定しお送りさせていただきます。
1-1.被相続人(お亡くなりになられた方)の戸籍謄本等の収集
相続手続は、兎にも角にもここからです。
しかも多くの場合、死亡の旨が記載されている戸籍謄本等だけでは足りません。
例えば、配偶者と子供が相続人になるような場合には―
- 被相続人(お亡くなりになられた方)の【出生~死亡迄の連続した戸籍謄本等】
などが必要になってきます。
その趣旨は、それらの戸籍謄本等によって、子供の数を戸籍という公的な書面によって証明するわけです(戸籍には結婚や離婚、出生、養子縁組、認知等の身分行為が記載されますので)。
ちなみに、これはまだ楽な方です。
例えば、被相続人に子がおらず、兄弟姉妹が相続人になるような場合には―
- 被相続人(お亡くなりになられた方)の【出生~死亡迄の連続した戸籍謄本等】に加え、父及び父母の【出生~死亡迄の連続した戸籍謄本等】
などが必要になります。
今度は子ではなく、兄弟姉妹の数を戸籍という公的な書面で証明するわけです。
また、それには腹違い種違いの子の有無も証明する必要があります(どうであれ、兄弟姉妹であることには違いないので)。
故に父母双方の出生~死亡迄の連続した戸籍謄本等が必要になると...
尚、相続人となるべく兄弟姉妹が死亡しており、甥姪が相続人になるような場合には―
- 更にプラスして対象となる兄弟姉妹の【出生~死亡迄の連続した戸籍謄本等】
などが必要になると...
趣旨は同様です。
甥姪の数を証明するわけですね。
そして、言わずもがなこの書類収集が殊の外大変なのです...
何せ死亡時だけではなく、出生からの戸籍謄本等が必要になってくるため、人によっては複数の市役所等(対象の役所がかなり遠方であることも多いでしょう)で取得することになってしまいます。
また、往々にしてかなり古い年代の戸籍謄本等を取得することになるため、諸々の判断にはある程度の知識を要することも多々あるでしょう。
自力でもできなくはない。
できなくはないが、とても手間がかかり面倒な手続なのです。
1-2.相続人となる者の戸籍謄本等の取集
被相続人と比べると、相続人の書類は簡単です。
趣旨的にも単に相続人であることを証明すればいいだけですからー
そのため、最低限必要となる書類は、相続人の現在の戸籍謄本です。
その他、相続内容に応じて、印鑑証明書や住民票などが必要になってきます。
尚、これらは日常的にも取得することが多い書類ですので、そこまで苦にはならないでしょう。
その他、対象となる財産や相続内容によっては別に必要となる書類も存在しますが、かえって分かり難くなるのでここでは割愛致します。
2.手続の一部だけを専門家に依頼するという発想の転換
相続手続を安く済ませる最大の方法は、専門家に頼らず全部自分でやることです。
そうすれば司法書士等への報酬はかからず、かかる費用は実費のみですから。
そんな事などあえて言う必要はないかもしれませんが、紛れもない事実です。
ただ、それを実現するには、既述のとおり戸籍謄本等を収集する手間が思いの外かってしまうと...
で、あれば、戸籍収集等、面倒に思える手続のみを専門家に依頼すると言うのはどうでしょう??
ちょっとした発想の転換です。
そして、意外とそれが満足を得る結果になることもー
2-1.法定相続情報の有効活用
"法定相続情報一覧図"と言うものをご存じでしょうか?
比較的新しい制度ですので、知らない方も多いかと思います。
手続が開始した当初は色々懐疑的な面もありましたが、今では法務局は元より金融機関や証券会社等でも浸透し、非常に便利な書類になってきました。
今回のご提案は、その"法定相続情報一覧図"をうまく活用する方法です。
法定相続情報一覧図は、相続手続に必要となる上記戸籍謄本等一式の代わりになります。
必要書類の収集等、取得するまでは相応に大変ですが、取得してしまえば後は楽なもの―
しかも、法務局での発行手数料はかかりませんので、ある意味、何枚でも法定相続情報一覧図を取得することができます。
いわゆる、何セットも戸籍謄本等一式を用意する必要などなく、複数の金融機関や証券会社での相続手続を同時進行できるわけです。
検討したことはないかもしれませんが、実のところその取得手続のみを司法書士に頼むことも可能なのです。
面倒な戸籍謄本等の取集手続と法定相続情報一覧図の申請手続のみを専門家に依頼―
そうすることで、かかる費用を最低限に抑えること可能となります。
その他、法定相続情報一覧図の詳細は次の記事をご参照下さい。
スケジュール等の問題もあるでしょうが、うまく活用できれば確実な節約ができるものと思われます。
「法定相続情報一覧図の取得手続/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/service/succession/post_53/
※尚、そんな便利な法定相続情報一覧図ですが、あくまで現状では取得しても仕方ないケースもあるようです。
端的に言うと、"相続放棄"が絡むケースがそれに当たります。
システム上の問題なのか、どうやら法定相続情報一覧図は死亡時の相続関係を前提にしているようで、相続放棄によって相続人が代わるようなケースでは問題が生じる恐れがあると...
例えば、子が死亡し両親が法定相続人なるような場合で、その後、両親が相続放棄した結果、兄弟に相続権が移ったようなケースです。
果たしてどうなるのか??
結論からすると、現状、法定相続情報一覧図は死亡時点での内容でしか発行できないそうです。
要するに両親が相続人なっている法定相続情報一覧図しか出せないと(兄弟は表記すらされません。)・・・
もちろん、そのような法定相続情報一覧図を取得したとしても、何ら意味はありません。
相続人が違っていますからね。
本来、相続放棄の効果は遡及しますので、その理論に照らし合わせたとしても問題ないような気もしますが、僕の思惑通りにはいきませんでした。
尚、これは、先日、実際に僕が経験したケースですので、すべての法務局で同じ取扱いかどうかは分かりません。
おそらく今後、これに対する取扱いも変わるのではないかな?と思っています。
ともあれ、ご注意ください。
2-2.自力で行う相続登記も幾分簡単に
この方法であれば、自力で行う相続登記手続も随分楽になります。
もちろん、相続登記の申請書や法定相続情報一覧図以外の必要書類(遺産分割協議書、印鑑証明書、評価証明書等)を準備する必要はありますが、何もない状況と比べれば雲泥の差と言えるでしょう。
もちろん、それでも登記手続のハードルは相応に高いはずですので、このような方法は金融機関や証券会社の相続手続に限定するのもいいと思います。
また、逆に自力で戸籍収集や法定相続情報一覧図を取得いただき、登記手続のみを司法書士に依頼することも可能です。
他の事務所ではどうだか分かりませんが、少なくとも司法書士九九法務事務所では、そのような案件においてはいただく報酬をその分少なくさせてもらっております。
- すべて自分で頑張る
- 戸籍取集と法定相続情報一覧図の取得のみを依頼する
- すべて司法書士に依頼する
色んな形があっていいと思います。
ご希望に沿った形で対応させていただきます。
3.まとめ
今回は、面倒な相続手続の一部のみを司法書士に依頼する旨の内容でした。
それぞれのライフスタイルがあるように、依頼内容も人それぞれ―
それで良いと思います。
面倒な戸籍取集―
はじめる前に当手続の利用ご検討いただければ幸いです。
それでは今回はこの辺で。
write by 司法書士尾形壮一