ブログ

会社・法人登記

『実質的支配者となるべき者の申告書』とは?

いつもお読みいただきありがとうございます。



※2019年6月14日、一部の記事内容を更新済
自身の備忘録的意味合いが強かった当記事ですが、筆者の予想とは裏腹にブログ内でもかなりの人気記事に成長してくれたようです。
なにぶん新しい制度ですから、気になっている方が予想より多いんですね。
今後とも、新しい情報が入りましたら随時更新していく予定ですので、引き続きご注目いただけると幸いです。



先日、はじめて鍼灸整骨院なるものに行ってきました。
僕は日頃からなにかと運動をする方なので肩こりなんかで悩むことは少なくなったのですが、スポーツ後の身体のケア自体を怠っているため、下半身の筋肉などはもうガチガチ...


このままでは駄目だと、大きな怪我をする前にチャレンジしてみました。


結果、だいぶ身体が軽くなったような気がします―


今回はあまり時間がなかったため利用できていませんが、マッサージや電気治療の他に針や酸素カプセルなんかもあるそう。
そのうち体験談をお知らせしますね。

20181204171359-bef1041a22f1cb1a3b6324cb619702ccb527d3e7.jpg

ちなみに下記の鍼灸整骨院が今回知人の紹介で伺ったところです。
安くて使いやすいなというのが率直な感想です。


一生懸命に働くおじさんや、スポーツにいそしむおじさんには(もちろん女性にも)もってこいかもしれません、


興味ある方は是非。



「四谷駅前治療院HP」
https://yotsuya-chiryoin.com/




さて、そろそろ本題へ...

今回は公証役場で新たにはじまった定款認証制度のお話です。
今後、株式会社などを新規に設立される予定のある方にとっては、タイムリーな話題となっていますので該当される方は是非ご覧ください。




<目 次>



1.公証役場で新たな定款認証制度がはじまりました

平成30年11月30日付の改正をもって、会社設立時に公証役場へ提出しなければならない書類が追加されました。


結構、直近の話なのです。


かく言う僕も、新規株式会社の設立案件を進めている過程で公証役場の事務の方からその旨の通知を受け、はじめて知ったような感じです。

おそらく、まだまだ世間でも周知されていないでしょうから、この機会に当ブログで取り上げてみたいと思います。




1-1.どういった書類が追加され、何が変わったのか?

端的に言うと、今回の変更の結果、公証役場での定款認証時に"実質的支配者になるべき者"の届出が必要になりました。


なんだ、それ??


と、言うのが大半の反応でしょう―



具体的には次のような書面を提出することになります。
(細かい項目等の詳細は当ブログの後半部分で紹介致します。)


47455440_276097716381302_3453638573431980032_n (1).png

※日本公証人連合会HPより出典



たったこれだけなんです。
その他に大きな変更点もありません。


ただし、なにぶんこれが分かりにくい―


一見しただけでは誰が押印すべきなのか、誰の情報を記載すべきなのか、新規設立会社の内容によっては判断に迷いそうな気もします。


そのため、制度趣旨も含め、適宜、詳細を検証していくことにしましょう。





1-2.なぜ『実質的支配者となるべき者の申告書』が要求されるようになったのか?

一言で表現するならば"世界的な時代の流れ"と言ったところところでしょう。

公証役場からの案内では次のような表現がされています。


この改正は、法人の実質的支配者を把握することなどにより、法人の透明性を高め、暴力団員及び国際テロリスト(以下「暴力団員等」という。)による法人の不正使用(マネーロンダリング、テロ資金供与等)を抑止することが国内外から求められていることを踏まえての措置ですので、ご協力をお願いします。



銀行等での送金時などにも似たような書類を提出した記憶がありませんか?


趣旨はそれと同様です。


不正な目的で設立した会社ではないということを書類に残しておくものであり、その情報を基に暴力団等ではないということをデータベースにてチェックするものでもあります
(仮にチェックの結果、暴力団等に該当すると手続の頓挫または停滞が予想されるので、なるべく早めに『実質的支配者となるべき者の申告書』を提出しておいた方がいいかもしれませんね。)。


ちなみにすべての公証役場が同じ方法でデータチェックを行っているかどうかは定かではありませんが、少なくとも僕が手続を行った公証役場では、対象となる人物の"読み仮名検索""漢字検索"を行っているそうです。


いわゆる、実際は暴力団等に該当しなかったとしても、同姓同名であれば一時的にでも公証役場のチェックに引っかかってしまうわけです。




仮に該当してしまった場合はどうなるのか?




十分あり得ることですし(同姓同名は結構いますから。)、気になるところでもあるでしょう。

程度にもよるようですが、その場合、まずは定款認証嘱託人へ連絡がいくようです。
データベースに引っかかったので、本当に大丈夫かどうかの確認を取ってくるわけですね。

また、定款認証嘱託人等への聴取の結果、大丈夫であるとの確証が得られない場合や、あからさまに怪しい場合などには、そこから警察庁のデータベースへの問い合わせ等を行うこともあるそう...


さすがにそこまでの経験はありませんが、そうなってしまうと相応の時間がかかってしまうのはもちろんのこと、最悪、会社設立自体ができないことも考えられます。
できることにも限界があるでしょうが、事前の説明と早めの行動が重要ですね。




尚、事前の情報では、できあがった会社の定款に次のような文言が明記されると聞いていましたが、実際は少しばかり異なっていました。


「嘱託人は、『実質的支配者となるべき者である○○○○は暴力団員等に該当しない。』旨申告した。」



正しくは、定款自体に明記されるのではなく、次のような書類が別に発行されることになります(公証役場によっては何も言わずに発行してくれる所と、要求しないと発行してくれない所があるのが現状です。)。

実質的支配者となるべき者の申告受理及び認証証明書①.png

実質的支配者となるべき者の申告(認証文).png

ちなみに、新設会社の新規口座開設時に、当該書類の提出を要求する金融機関もあるそうです。
取得時に手数料がかかるわけではないので、公証役場から発行してもらうことをお勧めします。


これ、一般には"申告受理証明書"と呼ばれています。


仮に金融機関から要求された場合は、当ブログを思い出していただければ・・・



1-3.どのような会社が対象となるのか?

c2b377694eb508a889c701b2856cd7ea_l.jpg

この判断は簡単です。


単純に公証役場で定款認証が必要となる会社です。


代表的なとことで言うと―


  • 株式会社
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人



今後、設立されるこれらの会社は、我々専門家が行う電子認証手続だけではなく、個人の方が独力で行う書面認証手続などもその対象となります。



では、合同会社は??


もちろん合同会社にも定款はあります。

しかし、合同会社の定款は、公証役場での定款認証手続を要しません。


そのため、あくまで現時点では『実質的支配者となるべき者の申告書』等を要求されるような規定はないのです。


おそらく今後は、その設立手続に関与するであろう、我々司法書士が独自にその役割を担うようになっていくことが考えられます。


ただし、現行においても既に暴力団等からの委任を受けることは当然に禁じられていますので、特に何が変わるという程のものでもないようには思えます。
その辺につきましては、新たな動きがあれば追ってご紹介させていただきます。




1-4.実質的支配者の基準は?

中身についても少し触れておくことにします。


元より"実質的支配者"とは何か?


次のように規定されています―


① 設立する会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人となるべき者(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
※犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(以下「犯収法施行規則」という。)11条2項1号参照

② ①に該当する者がいない場合は、設立する会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人となるべき者(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合又は他の者が設立する会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する場合を除く。)
※犯収法施行規則11条2項1号参照

③ ①及び
のいずれにも該当する者がいない場合は、出資、融資、取引その他の関係を通じて、設立する会社の事業活動に支配的な影響力を有する自然人となるべき者
※犯収法施行規則11条2項2号参照

④ ①、②及び③のいずれにも該当する者がいない場合は、設立する会社を代表し、その業務を執行する自然人となるべき者
※犯収法施行規則11条2項4号参照



まあ、なんともわかりにくいですよね。

ただし、ほとんどすべてが①に該当する会社だと思います。

1人出資の1人代表の会社なんかは、当然①です。
あまりないでしょうが、4人で25%ずつの会社の議決権を持つような場合には、それぞれについて『実質的支配者となるべき者の申告書』が必要となるという趣旨が②です。

③、④については、そうそう当てはまる会社は少ないでしょうから、適宜、判断する形でいいと思います。

よく読み、しっかり判断すると言うことですね。
(法人が議決権を持つ会社の場合がめんどうそうですが、該当するような会社はそんなに多くないですから問題になることも少ないでしょう。)


ともあれ、実際に会社を動かす権限を持つ者は誰なのか?


それを明らかにする趣旨なのです―




1-5.嘱託人とは誰を指す?

実際の手続で僕自身がかなり迷った点です。


"実質的支配者になるべき者の申告書""嘱託人"がその住所と氏名を記載し、押印することになっています。



本来、嘱託人とは、公証人に手続を依頼する者を指します。

と、すれば、それは発起人(出資者)ということになるのでしょう。
(少なくとも僕はそう考えていました。)


司法書士は嘱託人から委任を受けた代理人です。
嘱託人そのものではないだろうと―


結果、事情を説明し、会社設立の依頼者に印鑑を貰おうと思っていましたが、念のため公証役場に確認してみたところ...



『公証人の眼前で嘱託をする人、いわゆる司法書士が代理人となって定款認証の嘱託をする場合には、当該司法書士が嘱託人になります。』



との返答がありました。
(すべての公証役場がそうであるかどうかは今のところ不明です。ただし、まず手続を代理する司法書士の印鑑で問題ないものと思われます。)


まあ、ようは僕の勘違いだったわけです。


依頼者に余計な手間をかけずに済んで良かったですが、なんとも分かりにくいな...と、いうのが率直な感想です。




1-6.どのタイミングで提出すべき?その他、注意点等

"実質的支配者になるべき者の申告書"は、なるべく早めに公証役場に提出した方がよさそうです。


ただし、新設会社の概要もできていないうちから提出するのもあれですので、実際は定款の案文を公証役場に提出する際に併せて提出することになるでしょうし、事実、公証役場もそれを推奨しているようです。


僕なんかは案件の受任時に依頼者に趣旨を説明して印鑑をもらっています。



その他の注意点としては―


実質的支配者となるべき者の本人特定事項等としての、"氏名のよみ"が重要だそうです。

面倒なのでついつい勝手に省略しがちな"氏名のよみ"ですが、これが入力(電子認証の場合)されていないと、自動却下になってしまうそう―


単にやり直せばいいだけの話かもしれませんが、急ぎの設立案件などは要注意ですね。


ご注意を。



尚、より詳しく知りたいという方は、以下のHPもご確認ください。



「日本公証人連合会HP」
http://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/20181130.html




2.法人が発起人の場合の実質的支配者となるべき者の申告書について

会社の発起人(出資者)は、何も個人だけに限られるものではありません。
法人が発起人になることだってあるのです。

その詳細については次の記事をご参照ください。


「法人は発起人(出資者)になれるのか?/司法書士九九法務事務所HP」
https://99help.info/blog/post_97/



基本的な考え方は個人の場合と同じですが、ここでは法人が発起人であった場合の実質的支配者となるべき者の申告書についてご案内させていただくことにします。





2-1.法人が発起人の場合の注意点

ポイントは、いったい誰が実質的支配者となるべき者の申告書を提出すべきかという点です。

法人が発起人の場合は、当該書類の提出は不要―
とは、いきません。

個人であれ、法人であれ、実質的支配者となるべき者の申告書の提出は必須です。



ちなみに、対象となる法人が、"上場企業、もしくは上場企業の子会社"に該当するかどうかで結論が変わってきます。
とは言え、一般には上場企業等が絡むケースなどそう多くはないでしょうから、とりあえずぞれは後回しにしちゃいましょう(結論のみ後述します。)。


まず、一般的な会社が発起人になる場合、会社そのものが実質的支配者となるべき者の申告書を提出するわけではありません。
基本的には以下のようになります(かなり分かり難いと思いますが...)。



  • 1.新規設立会社の発起人がA株式会社のみであった場合:A株式会社の株式の50%超を保有している者(X)が実質的支配者に該当
  • 2.新規設立会社の発起人がX(34%)A株式会社(33%)Y(33%)であった場合:XがA株式会社の株式を50%超保有している場合には、Xのみが実質的支配者に該当
  • 3.新規設立会社の発起人がA株式会社のみであった場合:A株式会社の株式をB株式会社が50%超保有しており(法人の株主が更に法人であった場合の話です。)、B株式会社の株式をXが50%超保有している場合は、Xが実質的支配者に該当



ようするに、会社そのものが実質的支配者に該当するのではなく、対象となる法人を介して、議決権という名の決定権を持つ「自然人」がその対象となるわけです。
まあ、驚くほど分かり難い制度です。

僕自身、理解するまでにかなり時間を要しましたし、むしろまだ完璧ではないかもしれません...




ちなみにこれが上場企業等になるとー


当該法人(上場企業等)が"自然人"とみなされます。



ん??
なんだそれ??




当初の僕の感想です。
驚くほどに異なる結論になるんです。


まあ、趣旨は分かりますよ。
上場企業等の株主を調査するなんて現実的じゃないですからね。

結果、上場企業等については株主調査は必要はなく、そのまま該当する法人が"自然人"とみなされ、実質的支配者となるべき者に該当するというわけなのです。



ちなみに、一般社団法人や一般財団法人の実質的支配者となるべき者についてはー

  • 出資、融資、取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人
  • これに該当する者がいない場合には、設立する法人を代表し、その業務を執行する自然人


と、定義されています。
これについては、まだ実際の業務での経験がありませんが、その他の情報が入りましたら、随時更新していくつもりです。


3.まとめ

会社の設立手続に関与していない一般の方にとっては、かなりマニアックな内容になってしまいました。
自身への備忘録も兼ねた意味合いもあったため、その点はご了承ください。


ただ、以前とは異なり誰でも会社の設立がしやすくなった昨今、全く無駄な情報というわけでもないかもしれませんよ。


機会があればご活用ください。


尚、詳細は明らかではありませんが、来年3月からはビデオ通話による定款認証手続を実施する計画もあるそうです。



ビデオ通話??

Skype??



詳細が判明次第、追ってお知らせ致します。


それではこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一