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会社・法人登記

法人は発起人(出資者)になれるのか?


いつもお読みいただきありがとうございます。



この所、何かとバタバタしておりブログの更新頻度がいつになく少なくなっていました。
全く時間が取れないほどでもないのですが、あちこち外出する機会が多かったことが最大の原因です。
おそらく僕がめんどくさがらずにノートパソコンを持ち運ぶようにすれば、ある程度の問題は解決するのでしょうが...

まずはモバイルWi-Fiルーターかな(テザリングが絶不調です。)...



さて、今回は既存法人が新規設立会社の発起人(出資者)になれるかどうかの可否と、各種注意点についてのお話しです。

令和になり、新しい元号で会社をつくってみたい!と、言う方も多いのではないでしょうか?
その際は、是非、参考にしてみてください。




<目次>




1.会社の発起人とは?

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そもそもの話です。


発起人は、会社の新規設立登記時以外でも、度々使われることがあります。

例えば、"~の会の発起人"だったり、"出版記念パーティの発起人である~"と言った用途で使われているのを目にしたことがありませんか??


そんな発起人を、ごくごく簡単な言葉で表現すると―


何かを思い立って事を始める人のことを指します。



いわゆる会社設立時の発起人とは、会社をつくろうと実際に行動する者のことなのです。
具体的には、定款の作成、公証役場での認証手続、資本金の出資等、会社設立の手続を行うわけです。

尚、株式会社の場合ですと、発起人は会社設立の後、出資した金額に応じて株主となります。


その点から言うと、発起人は株式会社の最初の株主でもあるわけです。


ちなみに、発起人は必ずしも取締役等の役員になる必要はありません。
出資することと、役員になることは同義ではないのです(もちろん、発起人兼株主兼役員にもなれますし、それが悪いというわけではありません。)。




1-1.発起人の資格等について

では、いったい誰が発起人になることができるのでしょうかー

その資格について検討することにします。


  • 個人であればいいのか?
  • 法人は?
  • 国籍は?
  • 人数制限は?
  • 未成年者は?



ちなみに、これらが実際にこれまで僕が発起人の資格に対して顧客から受けてきた質問の一覧です。
あるいはもっとあったかもしれませんが、とりあえずはこんなものにしておきましょう。


なぜなら、それに対する答えが驚く程にシンプルだからです。



結論からすると、会社法上、発起人になる資格や人数についてのこれと言った規定はありません。
原則、誰でも発起人になれると言うわけなんです。


早くもここで本題の結論になってしまいますが、もちろん法人であっても発起人になることができます(その際の注意事項については次節で。)。


そればかりか、未成年者が発起人になることも可能と言えば可能です。
ただし、未成年者は完全な行為能力を持っているわけではないので、それにあたって法定代理人の同意が必要な点は他の法律行為と同様です。

尚、発起人には定款認証等の手続上、最低でも1通の印鑑証明書(法人の場合は、代表者個人のではなく、法人の印鑑証明書が必要になります。)を取得する必要があります。


そのため、印鑑証明書(もしくはサイン証明書、拇印証明書等、その代わりになる書類)が取得できない者は現実的に発起人にはなれません。



代表的なところでは、15歳未満の未成年者成年被後見人と言ったところでしょうか―


これらの者が、発起人になることができない数少ない例外なわけです。
尚、それ以外(印鑑証明書が取得できる者)であれば、他の諸々の問題点(意思無能力者、暴力団関係者等)を別にすれば、たとえ法人(ただし、事項については要注意です。)であっても、外国籍であっても、会社の発起人になることは可能なのです。




1-2.法人が発起人になる際の注意点

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既述のとおり、法人は発起人になることができます。

ただし、無制限になれるわけでもないので、その点、要注意です。



基本的な考え方として、法人は、定款に定められた目的(事業内容)の範囲内でしか権利能力が認められていません。


これを根拠とし、法人が発起人になるには、新設会社の定款作成や認証、資本金の出資等の行為が発起人となる法人の定款の所定の目的の範囲内であることが必要になるのです。



これだけだと、さすがにちょっと分かりにくいですよね?



もっと噛み砕いて言うならば、八百屋と魚屋は互いの発起人にはなれませんが、スーパーであれば八百屋、魚屋双方の発起人になれます。



ポイントは、会社の目的の同一性です。


発起人になる法人と、新規に設立する法人の会社の目的の一部に同一性があればいいわけです。
であれば、発起人として行う法律行為も、れっきとした事業内容に含まれるという趣旨です。

尚、会社の目的はすべて合致する必要はなく、一部だけでもかまいません(上記の例えで言えば、スーパーでは野菜も魚も売っているので、双方に対して会社の目的の同一性を有しているというわけです。)。


また、会社の目的が全く同じ言い回しでなくとも、関連性が認められさえすればOKです。


極端な話、間違いなくこれらの手続を行いたいのであれば、新規設立しようとしている法人に、発起人となる法人の会社の目的を一つだけでもをそのまま引用すれば問題ないという話なのです。




1-3.法人が発起人になる際の必要書類

個人の場合とそう変わりありません。
最低限、次の書類が必要になります。

  • 法人の印鑑証明書
  • 法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
    ※いずれも発行日から3ケ月以内のもの


ちなみに個人の場合は、印鑑証明書が最低でも1通必要となります。
尚、法人の場合に会社の登記簿謄本が要求される趣旨は、資格証の代わりであり、会社の目的の同一性を確認するものでもあります。


厳密に言うと、作成した書類関係に押印する必要があるため、会社の法務局届出印(会社実印)や、会社の通帳に資本金を振り込む場合などは、その通帳の写しが必要になります。

この辺は、個人が発起人である場合も同じです。




2.まとめ

いつもより短めではありますが、この辺でまとめに入らせていただきます。
元よりあまり長々説明すべき内容でもないですから―


深い意味を理解するよりは、ただ単純にポイントだけ外さないようにしておけば十分です。


その他、需要があればそのうち発起人が行う細かい手続についても触れてみようとは思いますが...


それでは今回はこの辺で。

write by 司法書士尾形壮一